ノリやフィーリングでわかり合うことは、「私とあなたは仲間である」という思いをますます強固にします。

 しかし、相手の知らないことを説明するときや、情報を正確に伝えようとするときは、ノリだけでは乗り切れません。

 とくに社会に出ると、さまざまな年代の、さまざまなバックグラウンドを持つ人と話をする必要が出てきます。そこでは、仲間内でなんとなく通じていた言葉がまったく通じなかったり、冗談が冗談として受け取られなくなったりします。

 私も若い頃は家族や友達とほぼノリだけで意思の疎通をしていたので、ノリが通じない場に出たときに大いに戸惑いました。悩んだ末にようやく気づいたのは、自分がノリに頼りすぎるあまり、「文字どおりの意味」をおろそかにしていたということです。

 互いのことをよく知っている仲間内では、文字どおりの意味よりも、相手の人となりや、話すときの表情や口調から多くを読み取ります。

 しかし、よく知らない相手がまず注目するのは、言葉の文字どおりの意味です。現実よりも大げさな表現をすると、そのとおりに受け取られますし、文脈が明確でない場合には冗談も通じません。

 よく知らない人から見た「私」は、「私が発した言葉どおりのことを考えている人間」なのです。

 自分が「聞いてもらう価値がある」と確信している内容を、きちんと聞いてくれる人に向けて、ノリに頼らずに話す。そういう経験の積み重ねが、話すことに対する苦手意識を払拭し、自信につながるのではないかと思います。

話し上手は心地よい声色!?
良い声をつくる2つの心がけ

 世の中には話の上手い人がたくさんいますが、その中には声のいい人が少なくありません。よく聞くと話の内容がたいしたことなかったり、学術的に正しくないことを言ったりしている人もいますが、声が心地よいとつい聞いてしまうし、なんとなく納得させられてしまいます。

 では、できるだけいい声で話すにはどうしたらいいのでしょうか?

 これは私にとって、長年の課題です。今でもまだ、人前で話すときには緊張して声がうわずることがありますが、最近はだいぶましになりました。