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相手に行動を直してもらいたいとき、きつい言葉で注意してしまうのは百害あって一利なしだ。本当に伝わるのは、「相手を直そう」とする言葉ではなく、「自分の希望を丁寧に伝える」言葉。言語学者が考える、賢い注意の仕方と言ってはいけないNGワードとは?※本稿は、川添 愛『「わかってもらう」ということ 他人と、そして自分とうまくやっていくための言葉の使い方』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。
人の気分を害してしまう
悪い注意の仕方とは
往々にして、人に注意をするというのは難しいものです。
私は今までの人生で、どちらかというと注意する側よりもされる側になることが多く、そのおかげで後からひどい失敗をせずに済みました。よって、注意をしてくれた人たちには感謝しています。
しかしそれでも、注意を受けているまさにその瞬間を振り返ってみれば、言われたことを素直に受け止められなかったことや、腹を立てたこともあります。
単に私が未熟だったという面もありますが、「どういう注意のされ方をしたか」という面も重要だったと思います。
私が「あまり良くないな」と思う注意のしかたの1つに、「なんでこんなこともできないの?」があります。
「なんで(/なぜ/どうして)~か」という疑問文では、その中に入る「~」という部分が「前提」になります。
つまり「なんでこんなこともできないの?」という疑問文は、「あなたはこんなこともできない」と決めつけた上で発せられるものです。
また、「こんなことも」の「も」にも、「さえ」「すら」と同じく、「これが最低限のものである」という前提があるため、全体としては「あなたは誰にでもできるような簡単なことができない」と言っていることにもなります。







