ツメさえあれば何でもできる道具いらずで超便利
引っかき傷は存在を示すサイン
クマのツメはさまざまな用途に使われます。たとえるなら、森の暮らしを支える多機能ツールのような存在といえるでしょう。
まず注目したいのが、その圧倒的な強度。クマのツメは硬いたんぱく質でできていて、人間のツメとは比べものにならないほど頑丈です。特に、長く湾曲したヒグマのツメは地面を掘る、木の根を掘り返す、倒木をひっくり返すといった力仕事にも対応できます。たとえば、地面に穴を掘ってエサを探すときが、このパワーツールの出番です。
また、木に登るためのアイゼンとしての役割も持っています。木登り自慢のツキノワグマは、太く鋭いツメを木肌にしっかりと食い込ませ、高い枝までぐんぐん登っていきます。果実を採るとき、身を隠すとき、あるいは木の上でひと休みするとき、ツメが体を支える命綱として機能するのです。
そして繊細な動きにもツメは大活躍。石をひっくり返したり、果実をたぐり寄せたり。あるいは魚の脂肪だけを選んで食べたりするとき、ツメと指を器用に使います。
ちなみに、クマが木の幹にツメを立て、引っかき傷を残すことがあるのはご存じでしょうか。これはいたずらではなく、一説には自分の存在を示すサインだとされています。








