これらのデジタル・テック系の備えは「エイジテック備品」と言い換えてもよいかもしれません。なお、「エイジテック(Age Tech)」とは、高齢者が生活の中で直面する課題を解決するテクノロジーや概念を指す言葉です。日本では、まだ介護テクノロジー(Care Tech)が中心で、高齢者が自立して暮らすためのテクノロジーとしての認識が少ないことが課題とされています。

 60代は、自分を守るための「自助」と家族・隣近所の人を支えるための「互助」の双方を高く意識しながら、災害リスクに備えるさまざまな準備をしています。60代女性は、避難弱者である孫世代・親世代を助ける側にも、自身が助けられる側にもなる中間的な存在です。そのため、「防災DX」をいち早くキャッチアップする必要があるのでしょう。

シニア層は過去の経験が
「防災消費」につながる

 また、「なるべく人に頼らず、安心を得たい」という気持ちも強い人たちですから、相棒となったスマホが自分を守ってくれることは大歓迎です。すでに「スマホがいざという時に頼りになる身近な存在になっている」とも言えるかもしれません。

『消費の主役は60代 シニア市場最前線』『消費の主役は60代 シニア市場最前線』(梅津順江、同文舘出版)

 世界的規模で気候変動が続く中、60代は過去を知っているだけに、災害などの影響が深刻化している実感や加速化していることへの焦りも抱いています。「防災アプリ」、「エイジテック備品」などのデジタル防災の進行を、60代女性が先導していくのではないでしょうか。