60代を超えて「人生の喪失期」に入る人と「第2の青春期」に入る人の決定的な思考の違い写真はイメージです Photo:PIXTA

人生100年時代、男女の平均寿命は80歳を超えました。仮に80歳まで生きるとして、60歳から80歳まで20年。余生とみなすにはあまりにも長いです。これからの人生を豊かにするために、まずは今までの人生を振り返ってみましょう。※本稿は、榎本博明著『60歳の地図:「振り返り」が人生に贈り物をもたらす』(草思社)の一部を抜粋・編集したものです。

あなたの人生にも物語がある

 若い頃に60歳と聞くと、もう人生の終着駅を間近にしたご隠居さんといったイメージを持っていたのではないでしょうか。でも、自分がいざ60歳になってみると、あるいは60歳を目前にしてみると、自分がそんな年齢になっているといった実感がなく、とまどいを覚えるものです。

 さすがに自分が若い頃と変わらないと思っている人は少ないでしょうが、まだまだ人生の中盤を生きているつもりだったのに、いつの間にかこんなところまで来てしまっていることを改めて意識すると、これからどう生きていくのがよいのか、考え込んでしまう。それが多くの人の現実だと思います。

 それには寿命の延びによる超高齢社会の到来ということの影響もあるでしょう。人生100年時代といわれたりしますが、それはちょっと大げさな感じがするものの、今や平均寿命が男女とも80歳を超えており、もはや60歳以上を余生とみなすわけにはいきません。

 60歳から80歳まで20年もあり、それは生まれてから成人するまでの期間に相当します。そこにはまた紆余曲折の豊かな人生が展開されていくはずです。

 そうした時代背景もあって、かつては50代で引退していたのが、60歳が引退の年になり、最近では定年延長が当たり前のようになって、60代後半で働いている人も珍しくありません。

 だからこそ、65歳から公的に高齢者に区分されると頭ではわかっていても、自分が高齢者になっている、あるいはもうすぐ高齢者になるという実感が湧かない人が多いのも、当然のことといえます。

 これからまだ20年、いわば生まれてから成人するまでくらいの年月が続く可能性があると思えば、余生などと言っていい加減に過ごさずに、自分らしい人生、納得のいく人生にしていきたいと思うのももっともなことでしょう。では、どうしたらよいのか。

 そこで大切なのは、これまでの人生を振り返ってみることです。

 自分らしく生きるためのヒントは、これまでの人生の軌跡に刻まれているはずです。仕事一途に生きてきた人も、子どもをはじめ家族の世話に必死になって生きてきた人も、過去をじっくり振り返る気持ちの余裕はなかったかと思いますが、そろそろ振り返る時期がきたのではないでしょうか。