相続税は「2割加算」となり
生命保険金の非課税枠も使えない
「生命保険金を受け取った人が被相続人の法定相続人ではない場合、相続税額に2割が加算されるというルールがあります。今回のように長男の妻が受取人の場合も、この“2割加算”の対象です。相続税の基本的な仕組みでは、生命保険金は「みなし相続財産」として扱われ、受取人にも相続税が課されます。法定相続人が受け取るよりも高い相続税を納付する可能性があるため、注意が必要です」
「さらに、法定相続人が生命保険金を受け取る場合は『生命保険金の非課税枠』が使えます。非課税枠は500万円×法定相続人の数です。たとえば、相続人が2人(子2人)の場合、500万円×2=1000万円までは非課税となります」
「しかし、長男の嫁は法定相続人ではないため、この非課税枠も適用されません。そのため、今回のようなケースでは受け取った5000万円全額が課税対象となり、さらに相続税の2割加算も行われます」
中村弁護士はこう続けます。
「義理の娘さんが長年の介護に尽くされたお気持ちは尊いものです。ただ、税務上は厳格に“法定相続人かどうか”で区分されます。結果として多額の税負担になるケースもありますから、受け取る前に必ず税理士や弁護士に相談すべきです」
あまりに高額な生命保険の場合は
特別受益として持ち戻しを請求される可能性も
「今回のケースは法定相続人でない長男の妻が生命保険金を受け取っているケースですので、特別受益等の主張がされる可能性は低いといえます」
「しかし、長男と生命保険受取人は夫婦であることから、長男が生命保険を受け取ったと同視できるような事情があり、さらに生命保険額が遺産総額に比して過大なケースでは他の相続人から生命保険額を特別受益として遺産に持ち戻すよう請求されたりする可能性もありますのでご注意ください」
「過去の裁判例では、法定相続人が受け取った保険金額が遺産総額の5~6割を超えるような場合は、持ち戻しの対象となると判断される可能性が高くなる傾向があります」







