首相に就任して1週間でトランプ氏との日米首脳会談に臨んだ高市氏Photo:SANKEI

トランプのハートを
わしづかみした高市首相

 10月28日午後4時すぎ。アメリカ海軍横須賀基地で、トランプ大統領(79)は、軍関係者を前に、高市早苗首相(64)を、「この女性は勝者だ。私たちはとてもいい友人になった」と持ち上げてみせた。

 首相に就任して1週間でトランプ氏との日米首脳会談に臨んだ高市氏。この言葉を引き出せただけで、初の顔合わせは大成功だったと言っていい。

 高市氏からすれば、トランプ氏と「ドナルド!」「サナエ!」と呼び合う関係を築くことによって、国際社会に向け、「私は安倍晋三元首相の後継者」であることをアピールできた。

 自民党内に向けても、石破茂前首相(68)以上に基盤が弱い高市氏は、トランプ氏を後ろ盾にすることに成功した。

 笑顔を絶やさない半面、会談で言うべき点ははっきり言う高市氏の姿勢、それに、アメリカ軍兵士たちの歓声と拍手に右手を何度も突き上げて応える姿は、トランプ氏を2016年の大統領選挙から見続けてきた筆者から見て、「トランプ好み」に映る。

 他方、1年後に中間選挙を控え、「日本からカネを引き出した」という実績が欲しいトランプ氏にとっても、高市氏との会談で、関税合意の実行やレアアースの供給に関する文書の調印ができ、ノーベル平和賞に推薦するとまで称えられ、日本のトップ企業との間でも対米投資の確約にこぎつけたことは、ほぼ満点の結果と言えるのではないだろうか。

高市首相の外交姿勢は
タカ派色を抑えた「和製メローニ」

 トランプ氏との会談を成功させた高市氏は、韓国・慶州で臨んだ日韓首脳会談で、タカ派色を封印し、左寄りの支持層に支えられている李在明大統領(60)との間で、両国の関係を未来志向で安定的に発展させることで一致した。