さまざまなメディアで報道されているように、高市氏は、アベノミクスを彷彿とさせる積極財政論者だ。
その決意の表れが、片山氏の財務相への起用であり、そしてまた、積極財政派で作る議員連盟で会長を務めてきた城内実経済安保相(60)の成長戦略・経済財政相への横すべり人事だった。
前述の財務省職員は続ける。
「経済産業省出身の今井尚哉氏(67)が首相の知恵袋的な内閣官房参与で、政務担当秘書官の1人が、今井氏の後輩で同じ経済産業省出身の飯田祐二氏(62)。これだけでも財務省にとっては腹立たしいのに、高市―片山―城内体制は宣戦布告ですよ」
さらに言えば、外交・安全保障の司令塔である国家安全保障局長に、かつて安倍外交に深く関わった市川恵一氏(60)を、10月10日、石破前内閣が出した駐インドネシア大使の辞令を取り消してまで起用したのは、中国の動きを見据え、何としてでも「防衛3文書」を改定し、防衛力の強化に踏み切るためだ。
このように、強引と思われるような人事でも適任と思えばやってのけるところが高市氏の強みであり、ときにハレーションを引き起こしかねないリスクもはらんでいると感じるのである。
「安倍3.0」最大の壁は
後見人の麻生副総裁か
焦点は、この考え抜かれた布陣で、高市氏が「安倍3.0」とも呼ばれる積極財政を推し進め、「強い経済」を取り戻せるのかという点だ。結論を言えば、それほど甘くはない。
「意外や意外、高市氏の後見人で首相誕生の立役者でもある(自民党の)麻生太郎副総裁(85)が壁になるんじゃないの」(旧安倍派・衆議院議員)
振り返れば、麻生氏は2012年12月の第2次安倍内閣誕生以降、菅義偉内閣の2021年10月まで長期にわたり財務相を務めてきた。その間に消費税増税を実現させ、財務省にいい思いをさせてきたほか、菅氏との政争では財務省の力を拠りどころにもしてきた。
そもそも麻生氏は財政再建派だ。財務相時代、記者会見で何度か耳にしたが、「国の借金を増やさず、税収に見合った支出を」が基本的な考え方で、高市氏とは異なる。







