加えて、麻生氏が自民党幹事長に押し込んだ鈴木俊一氏(72)は麻生氏の義弟であり、前財務相であることも忘れてはならない。
その麻生氏らが、前述した飯田氏とは別に政務担当秘書官として送り込んだのが、一般的には名前も年齢も知られていない自民党職員の橘高志氏である。
橘氏は、高市氏が政調会長時代、支える役割を担ってきた人物ではあるが、麻生氏が財務省の意向を受けて、高市氏の動きを知るために、首相官邸に送り込んだ連絡役と見ることもできる。
また、高市氏を支える秘書官の1人には、財務省から主計局出身の吉野維一郎氏(56)が送り込まれた。吉野氏は1993年入省組で、国民民主党の玉木氏とは同期。将来の事務次官候補の1人とされる人物である。この吉野氏もまた、高市氏を支えつつも、麻生氏と連携しながら積極財政に歯止めをかける役割を担う可能性が高い。
物価高対策をめぐる
高市氏と財務省の暗闘が始まる
外交はうまくこなしても、財源が問題となる政策に関しては、これまで述べてきたような対立の構図が大きな壁となる。改めて整理しておく。
○積極財政派=高市首相、片山財務相、城内経済安保相、今井内閣官房参与、飯田秘書官(政務)
○財政再建派=麻生副総裁、鈴木幹事長、橘秘書官(政務)、吉野秘書官(事務)
両派による暗闘は必至の情勢だが、高市氏の経済ブレーンで元大蔵官僚の経済学者、本田悦朗氏は、筆者の問いに語る。
「財務省が主張するプライマリーバランス(政策経費を税収で賄えているかどうかを示す指標)と我々が主張している話は違う。我々は税収と財政全体、経済成長によるGDPの上振れを見ながら、10兆円程度の財政余力はありますよと高市氏に提言しているんです」
ただ、「ガソリン税と軽油引取税の暫定税率廃止」や麻生氏も賛成する「防衛費の増額」だけならまだしも、「大規模な物価高対策」「年収の壁引き上げ」、それに自公維3党で基本合意した「高校授業料無償化」などは簡単な話ではない。







