「最近つまずくことが増えた?」→日常生活に“ちょい足し”するだけで健康寿命がのびる方法【医師が解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

年齢を重ねるにつれて、誰もが経験するのが筋力の衰え。筋肉量が減ると、見た目の衰えだけでなく、さまざまな健康問題も引き起こされる。筋力低下で老け込まないため、毎日の生活にも取り入れやすい運動法を紹介しよう。※本稿は、医師の白澤卓二『科学的に正しい一生老けない方法100』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。

「大腰筋」を鍛えて
日常動作をスムーズにしよう!

 ちょっとした段差につまずきやすくなったり、転倒しやすいと感じるなら、大腰筋の衰えが原因かもしれません。大腰筋は腰椎から大腿骨の前面にかけて逆V字型に広がる筋肉で、腹部と下半身をつなぐ重要なインナーマッスル(深層筋)です。外からは見えず触ることもできませんが、正しい姿勢を保ったり、歩行時に脚をしっかり引き上げるなど、日常生活の基本的な動作を支えています。

 大腰筋が衰えると、脚を持ち上げる力が弱まるため、歩行時に脚がすぐに下がってしまい、すり足になりがちです。これが原因で段差につまずきやすくなり、転倒のリスクが高まります。特に高齢者にとって転倒は骨折や寝たきりの大きな原因となるため、大腰筋の強化は健康維持に欠かせません。

 大腰筋は簡単な筋力トレーニングで効果的に鍛えられます。具体的には、脚を上げる運動や、椅子に座って膝を胸に引き寄せる動作などがおすすめです。また、普段の生活でも工夫が可能です。たとえば、駅や建物でエスカレーターやエレベーターの代わりに階段を使うことで自然に大腰筋を刺激できます。

 さらに、スクワットや座禅の姿勢も大腰筋を鍛えるのに有効です。これらは激しい運動ではなく、軽い運動でありながら、体の動きをしっかり実感できる内容です。