猪木の想像を超える爆発
となった「1・4事変」
「だから1・4ドームの試合は、ある意味で猪木さんの狙いどおりなんですが、猪木さんの想像を超える爆発をしたということです。猪木さんは常にどうしたら興行がうまくいくか、どうやって話題をつくるかを考えていた人ですから。ゴッチさんがメシを食べている時でも関節技のことを考えていたのと同じように、猪木さんは常に興行のことを考えてました」
『証言 橋本真也 小川直也、佐山聡、蝶野正洋らが語る破壊王と「1・4事変」の真相』(小川直也、佐山聡、蝶野正洋 宝島社)
1・4ドームの橋本VS小川戦が、猪木の想像を超える話題となったのは、新日本の“強さの象徴”であった橋本が潰されたという事件性もさることながら、あの現場の熱によるところもあるだろう。試合後の乱闘時、すべてのレスラー、格闘家たちが感情をむき出しにしたあの光景、あの表情は忘れることができない。
「試合後の乱闘は本当に殺気立っていました。とくにUFOのセコンド陣はアマチュアの格闘家が多かったので、みんな本気で熱くなってケンカをしたんですよ。それが余計に迫力や熱、そして生々しさを生んだのだと思います。これはある人が言っていたのですが、『闘いはプロの試合よりも素人のケンカを見たほうが興奮することもある』と。それと同じじゃないかと思います」
やはり大事なのはリアリティなのだ。
「そうです。ストロングスタイルにおいてリアリティは必要不可欠です。その大事なことをあらためて思い出させてくれた。ドームの試合は、それほど価値のある闘いだったんです」







