これによって、関心のある情報を確実に顧客に届けられるようになり、情報がスルーされる可能性を極力減らしているのです。

情報のパーソナライズ化で
「残念なビジネスパーソン」が急増

 それは便利な反面、パーソナライズ化された情報ばかりに触れていると、どうしても視野に偏りが生じます。

 パーソナライズの精度が上がれば上がるほど、新しい視点や違った話題に出くわす機会が奪われ、自分の価値観を絶対視してしまう排他的な思考に陥りやすくなってしまうのです。

 職場においても、自分の価値観を信じて疑わず、他者との衝突を何度も繰り返す「残念なビジネスパーソン」が、近年とても増えてきているように感じます。

・他の人の発言に対して否定から入る
・同僚のアドバイスにまったく耳を傾けない
・自分のやり方を他人に押しつける
・「自分でやったほうが早い病」に陥る
・成果を出している人に嫉妬する

 このような思考の幅が狭い人は、偏った情報のみに触れることが多い現代社会の副産物なのです。

 そんな情報のパーソナライズ化時代において、自分にとって興味のない情報が強制的に目に飛び込んでくるものが「セレンディピティ」(偶然の出合い)をもたらしてくれるとして、近年、価値が見直されはじめています。

 その一例が、新聞です。

 新聞には経済、政治、健康、スポーツなど、あらゆる出来事の記事が掲載されています。ひとたび広げれば、未知の分野の面白い内容に出合えるでしょう。

 若い方々からすれば「古いもの」だと考えられがちですが、新聞は視野を広げるために最適なメディアとして再注目されています。

 そして、じつは「巻き込まれる」ことによっても、そのようなセレンディピティを生み出すことができるのです。

 周りの流れに身を任せて、巻き込まれてみる。

 それだけで、自分が今まで知らなかったこと、やったことのないジャンルの仕事に出合えることができ、新しい世界のワクワクするような情報を獲得することができるようになります。

 現代の「残念なビジネスパーソン」は、巻き込まれてみることが絶対的に足りていないのです。