「この音よ永遠に響け」

 ふーー。

 ヘブンは布団をたたんでほしかっただけだった。

 それがわかってトキはほっとする。ふーと一息。

 そこへ錦織(吉沢亮)が迎えに来て、ヘブンは出勤していった。

 丁寧に正座してお見送りして、頭をあげて立とうとしたら、足に力が入らない。また得意の縁側に頭だけ出して仰向けに寝そべっていると、ウメがお茶をもって戻ってきた。

 腹筋で上半身をもたげて、ウメを見るトキ。腹筋強そう。

 ヘブンがいない間は鬼のいぬ間のなんとやらだろう。その間は部屋の掃除とかをしているのだろうか。けっこう楽な仕事な気もする。不安な一点さえなければ。

 夜、ヘブンが帰って来たら、「はあ! ああ!」と蛇と蛙(阿佐ヶ谷姉妹)の大げさなリアクションが入る。ウメが帰ってしまって「とうとうふたりきりです」と。こういう演出は思わせぶりで品がないという視聴者も少なくないのではないだろうか。でも頭ごなしに否定することは避けたい。どうしてこういうふうにしているのだろうと考えてみる。蛇と蛙が騒いでいるってことは、大事(おおごと)にはならないというサインなのではないか。

 ろうそくのあかりを持ってトキの前に立つヘブン。なんだかもうゴシックホラーのようだ。

 だが、ここでもヘブンは、これから原稿を書くから「お風呂どうぞ」とトキにすすめる。

 ひたすら気まずい。

 ヘブンが原稿を書いている部屋の前で、トキは微動だにしないで待っている。いつお呼びがかかるか……。でもペンの音がしている間は大丈夫だから「この音よ永遠に響け」と祈っていましたと蛇と蛙。ほら、やっぱり茶化している。蛇と蛙が騒いでいる間はたぶん、大丈夫。

 しかし、ついにペンの音が止まった。そして「しじみさん」と呼ぶ声が……。続きは明日。引っ張る引っ張る。

ウメ(野内まる)どこ行っちゃったの!?ヘブン邸に放置されたトキ(高石あかり)、布団を前に緊張感マックス〈ばけばけ第32回〉
ウメ(野内まる)どこ行っちゃったの!?ヘブン邸に放置されたトキ(高石あかり)、布団を前に緊張感マックス〈ばけばけ第32回〉