『SHOGUN 将軍』の影響で
『暴れん坊将軍』も大ヒット
――文化の継承という大きな視点が、結果的にチャンネルの独自性を生んでいるのですね。その価値は、国内だけでなく海外にも広がっていると伺いました。
宮川:ええ、これは私たちにとっても嬉しい驚きでした。日本と中国を除く海外向けに2024年に立ち上げたYouTubeチャンネル『24/7 SAMURAI-SHINOBI』が絶好調なんです。「24/7」というのは24時間・週7日、つまり「いつでも」という意味ですが、まさにいつでも世界中からアクセスがあります。
特にディズニープラスの『SHOGUN 将軍』の影響もあってか、今年5月から配信開始したオリジナル作品『SHOGUN'S NINJA-将軍乃忍者-』は再生回数が約259万回(2025年11月時点)にも上りました。さらに『暴れん坊将軍』も検索上位になるなど、インドネシアを筆頭に東南アジアで大ヒットしています。
熱量の高いファンが世界中にいることを可視化できたのは大きな収穫です。海外に媚びる必要はない。私たちが京都で、職人たちと共に手間暇かけて作り上げた“本物”の時代劇。その中に描かれる義理人情や家族の絆といったテーマは、世界中の人々の心に響く力を持っている。そう確信しています。
この「本物」へのこだわりは、過去の名作にも向けています。弊社が運営している姉妹チャンネル、日本映画専門チャンネルで取り組んでいる『八甲田山』や『網走番外地』、あるいは伊丹十三監督の『マルサの女』ほか全10作といった作品を4Kデジタルリマスター化して放送する試みも、大変好評をいただいています。
劇場で見たあの感動を、現代の最高画質で再び体験できる。これもまた、時代劇ファン、映画ファンにとってはたまらない付加価値になっているようです。
人気がなくなったのではない
届け方が変わっただけ
宮川:人気がなくなったのではありません。時代の変化と共に、届け方が変わっただけなのです。
私たちはメインターゲットを40代以上としていますが、中でも70代から90代の視聴者は、通販番組と相性が良く、CMの受注も好調です。関西では時々、絶大な人気を誇る阪神タイガース戦に視聴率で負けることもありますが(笑)、それ以外では圧倒的な支持を誇っています。
来年1月に放送する最新作『鬼平犯科帳 兇剣』も、すでにご加入者から大きな期待が寄せられています。
時代劇は歴史に残る。だからこそ、参加してくださる俳優の方々も生半可な気持ちでは臨んでいません。「スケジュールの合間を縫ってでも」というオファーに対し、「それでは京都撮影所の皆さんに失礼にあたる」と、仰っていただくことさえあります。それほどの熱量と敬意を持って、皆が作品作りに向き合っているのです。そのお気持ちに、我々も誠心誠意お応えすべく、丁寧にオファーをさせていただいております。
私たちはこれからも、この熱量を絶やすことなく、時代劇という文化の灯を守り、世界中に届けていきたいと考えています。







