ホンダの場合、北米での現地生産比率が高く、売れ筋はどちらかといえば大衆車のシビックやアコードで、かつその多くはカナダなどを含めた北米産です。これから本格的にトランプ関税のコストが上乗せされるとしても、北米市場での販売は手堅く展開できるかもしれません。
一方で、日本からの輸出比率が高いマツダとスバルは、輸出品目の多くを占めるのが高付加価値のSUVに寄っている点が不確定要因かもしれません。関税コストをどれだけ販売価格に上乗せできるか次第で業績が5月の想定よりも下振れするリスクも存在しそうです。
さて、業界全体の不安材料という観点では中国市場の要因も大きいでしょう。
実はトヨタは今期、中国では営業利益は増益で、販売台数も前年の87万台から91万台へ増やしています。これまで弱いとされてきたEVについても上海などでトヨタの bZ4X が売れているという情報が伝わってきています。
その一方で皆さんご存じのとおり中国経済は全体では苦境で、自動車販売の現場では在庫が増えてメーカー各社は値引き合戦に走っています。その逆風の市場でトヨタが販売台数を増やしながら増益も確保できたというのはある意味僥倖(ぎょうこう)でしょう。それと比較すると自動車各社の中国での業績はトヨタと違って北米の苦境にさらに加わる悪い要因になりそうです。
では今年下期の国内の経済はどのように自動車産業に影響するのでしょうか?いいニュースがふたつあります。
ひとつは今、中流以上の国民の間に資産効果が広がっていることです。まだ日本人はアメリカ人のように個人資産が株式に向かっている比率は大きくはないのですが、それでも新NISAブームの中で始めた投資が投資環境的にはプラスになっています。高市首相誕生で日経平均が急騰していますし、アメリカのS&P500投資やオールカントリー投資でも日本人の資産は増えています。







