もうひとつはガソリン税の暫定税率の年内廃止が決まったことです。これまで消費の逆風として食料品や光熱費でコストプッシュインフレが起きて国民の生活が苦しくなってきていました。政府が賃金上昇努力に力を入れてきたのにもかかわらず、実質賃金のマイナスが続いていました。物価対策の重要政策として注目されていたガソリン税の問題が解決したのは景気への影響としては大きいと思います。
トヨタの決算にふたたび注目すると、上期の日本での販売台数が前年同期比で約3万台増加していますし、年間でも約9万台増やす見通しになっています。日本国内での車の販売台数というのは景気の重要な目安のひとつです。それがトヨタに関してこれだけ調子がいいというのは日本経済にとっては確実に朗報です。この点については業界の競合他社にも追い風が吹いているとみていいでしょう。
出典=トヨタ自動車株式会社決算資料
さて、ここまでいい点と悪い点を挙げてきました。全体をまとめてみましょう。
トヨタの決算発表を眺めると、ほぼほぼトランプ関税の影響分だけ営業利益が減益になる見込みです。これはトヨタの営業努力の結果で、トヨタの業績見通しは自動車業界が想定していた苦境よりもかなりカイゼンされていることがわかります。
他の自動車メーカーも外的要因は同じですが、業績カイゼン幅はトヨタよりも厳しそうです。各社が5月に覚悟した25%の最悪のシナリオから条件が15%に好転しましたが、今期の自動車業界の業績は残念ながら25%当時のシナリオと同程度の厳しさになりそうだというのが全体感ではないでしょうか。







