1つずつ、可能性を消していく
参加者全員が、他の全員に向かって「あなたたちは全員嘘つきだ」と言っている。
問題文からわかる情報は、これのみ。
ここから、真実を探っていかなくてはいけません。
手がかりが少なすぎる問題ですが、確実に言えることが1つだけあります。
「参加者全員が嘘つき」という可能性はありません。
もし参加者全員が嘘つきだとすると、「あなたたちは全員嘘つきだ」という発言は真実を述べていることになるからです。
嘘つきが真実を話していることになるため、矛盾します。
まず1つ、可能性が排除されました。
まあ、「みんな嘘つきって言ってるから、正解はみんな嘘つき!」という問題だったら、いくらなんでも簡単すぎますからね。
そんなにうまくはいかないものです……。
もし正直者が1人なら?
少なくとも1人は正直者がいるとわかりましたが、その人数に関するヒントはありません。
それなら、
「もし正直者が~人いたら?」と仮定して、とりあえず考えを進めてみましょう。
ではまず、もし正直者が1人いたとしたら。
この1人を、仮にAとしましょう。
A以外の人たちは、全員嘘つきです。
その嘘つきの人たちが「あなたたちは全員嘘つきだ」と言っている。
でも実際には、Aという正直者が1人いる。
よって嘘つきの人たちの発言は、ちゃんと「嘘」になっています。
一方で、正直者であるAも「あなたたちは全員嘘つきだ」と言っている。
実際にA以外は全員嘘つきなので、この発言にも問題はないですね。
「正直者が1人」というパターンは、どうやらありえそうです。
では、正直者が2人なら?
次に考えるのは、もし正直者が2人いたとしたら。
この2人を、それぞれA,Bとしましょう。
A,B以外の人たちは、全員嘘つきです。
その嘘つきの人たちが「あなたたちは全員嘘つきだ」と言っている。
でも実際にはA, Bという正直者が2人いるので、嘘つきの人たちの発言はちゃんと「嘘」になっています。
一方で、正直者であるAが「あなたたちは全員嘘つきだ」と言うと、もう1人いる正直者のBも嘘つきということになります。
これでは、正直者であるAが嘘をついたことになってしまいますね。
よって、このパターンは成立しません。
これは、正直者が3人以上いる場合も同じです。
自分以外にも正直者がいる場合、正直者の「あなたたちは全員嘘つきだ」の発言は真実ではなくなってしまいます。
自分以外の全員が嘘つきであるときのみ、正直者は「あなたたちは全員嘘つきだ」と言えます。
つまり、正直者は1人しか存在できません。
<正解>
正直者は1人だけ
「思考」のまとめ
こんなに短い問題文でも、ちょっと考えさせられるのが面白いですね。
ぱっと見では「具体的な人数もわからないし、答えられるわけがない」「考えるだけ無駄」みたいに思ってしまいがちな問題ですが、仮定して考えてみるとちゃんとわかりました。
思考することをすぐに放棄せず、ちゃんと考えてみることの大切さを教えてくれる良い問題でした。
ただ、結果としてはたった1人の正直者が、嘘つきたちに囲まれているということに。壮絶であることには変わりありませんでした……。互いを嘘つきだと罵り合う群衆のなかでも、たった1人真実を叫び続ける。そんな人間になりたいものです。
・「絶対にわからない!」と感じるものも、じっくり考えてみると、真実が見えてくることがある
(本稿は、『もっと!! 頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。書籍では同様の「読むだけで賢くなる問題」を多数紹介しています)
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「論理的思考問題」とは何か?
論理的思考問題とは、知識や計算を必要とせず、「考える力」さえあれば正解を導ける問題を指します。
たとえば、こんな問題です。
Q:あなたが乗っているエレベーターで、1階から5階まで行くには5秒かかる。では、1階から25階まで行くには何秒かかる?
簡単に思えるかもしれませんが、答えは「25秒」ではありません。
Q:深さ30メートルの井戸に落ちてしまった。1時間で3メートル登れるが、その直後に2メートルずり落ちてしまう。何時間で脱出できる?
なんとなく「30時間かな?」と、直感に頼った人もいるかもしれませんが、答えは「30時間」ではありません。
Q:食パンを2枚並べて焼けるフライパンがある。パンの片面は30秒で焼き上がる。このフライパンで3枚の食パンを両面とも焼くには、最短で何秒が必要?
「2枚の両面を焼いてから3枚目を片面ずつ焼くから、2分?」と考えたくなってしまいますが、答えは「2分」ではありません。
直感で考えると、間違えてしまう。
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■著者プロフィール
野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者。ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。著書に『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』がある。