こちらも漢字は不問な上のグローバル展開で、発足から田中宏和どころか、マーサ・スチュワートのギネス世界記録を抜く意気込みだった。わたしは同姓同名の会の先輩として、この投稿に対し余裕のエールのコメントで応じてみせた。

 が、その後は1年も経たずに10人の会(われわれは6年かかったが)、2年後には31人の会へと発展するロケットスタートとなったのだ。「わたなべ」姓の人口は、「田中」よりは少ないがしっかり6位で、「ゆうこ」も昭和50年代には女子ランキングトップ10の常連だったメジャーネームだ(「ひろかず」は一度もベストテン入りしていない)。

カードゲームまで誕生!?
「渡る世間はナベばかり」とは

 コロナ禍が落ち着き、2023年5月に「わたなべゆうこの会」が初の集会を東京の銀座で行うとの知らせを受けた。ついては、わたしにゲストで参加して欲しいとのこと。「はい、よろこんで」状態ではあったが、いかんせん1人で参加するのは心細い。タナカヒロカズ族の同年代仲間である[渋谷]さんと[レコード]さんを誘って参加した(編集部注/田中宏和たちは属性をもとにしたあだ名でお互いを呼び合っている)。

 とはいえ、7人のわたなべゆうこに対し、タナカヒロカズは3人。まさか同姓同名で数的優位で脅かされる日が来るとは予想外だった。あだ名づけコンサルタントとしては(最近そうなってます)、グループ内初対面のわたなべゆうこさんにはお仕事にちなんで「妊活さん」を提案した。さすが女性だけの会である。タナカヒロカズの会にはない新鮮さがある。当たり前か。

 わたなべゆうこの会のあるあるネタにも鮮度が漲っていた。「わたなべ」の漢字の種類は58種類だと盛り上がっている。こちらは「田中」と「田仲」の2種類が確認できているのみ。「渡る世間はナベばかり」という24種類の「べ」を収録した神経衰弱型のカードゲームもあるというではないか。

「スピードナベばかり」「ナベカルタ」「おひとりさまでお待ちの渡ナベ様」と、他に3つの遊び方があるそうだ。さらにはなるほど、「わ」ではじまる苗字だから、学校の教室では後列になることが多く、予防接種も待ち時間が長かったそうだ。そうか、「わたなべ」は「待ち」の名前だったんだ。