「わたなべゆうこの会」と「タナカヒロカズの会」が“同姓同名合コン”!?写真はイメージです Photo:PIXTA

“自分とまったく同じ名前”を持つ人たちが全国から集まる。そんな不思議な会から、いま新たなつながりが生まれている。きっかけはSNSで届いた1通のメッセージ。「田中宏和の会」をきっかけに、「わたなべゆうこの会」など全国の同姓同名ネットワークが広がっていった。笑いと偶然の中に見えてくるのは、現代社会における“名前”と“つながり”の新しいかたちだ。※本稿は、ブランド・クリエイティブ・ディレクターの田中宏和『全員タナカヒロカズ』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

苗字トップ10位だけで
日本の人口の1割に当たる

 そもそも「田中」の同姓同名ポテンシャルはどれくらいなのか。

 現在の日本の名字のトップ10は以下の順と言われている。

1位 佐藤 1,830,000人
2位 鈴木 1,769,000人
3位 高橋 1,383,000人
4位 田中 1,312,000人
5位 伊藤 1,053,000人
6位 渡辺 1,043,000人
7位 山本 1,029,000人
8位 中村 1,026,000人
9位 小林 1,010,000人
10位 加藤 873,000人
(名字由来netの2024年4月時点での政府発表統計および全国電話帳データを元にした算出による概算数字)

 この上位10位まで名前で日本の人口の約1割を占める。

 例えば9位の「小林」だが、昭和を代表する批評家、小林秀雄は『同姓同名』という随筆で「小林も平凡、秀雄も平凡、小林秀雄で平々凡々という事で、今までずい分人にも迷惑をかけ、人からも迷惑を蒙っている。親父は、私の名前をつける時、他人と間違えられない為にという名前を付ける根本条件を失念していた」と綴り、自分の同姓同名の多さを嘆いている。名字の多さは同姓同名と出会う確率を上げる前提条件だ。

 ランキング中で「田中」は4位の約131万人である。同姓同名の会を実践するには、母数の多い佐藤さん、鈴木さん、高橋さんのほうが断然有利である。