「田中」姓は『古事記』にも記載があると言われている。また、地名や地形から苗字が多く生まれた平安時代から、あるいは大和国高市郡発祥の田中直(あたい)から始まるという説がある。水田風景の多い日本にあって、同時多発的に「田んぼの中」で「田中」と名乗った人が多く、特に稲作文化が盛んだった西日本に「田中」が多い理由もそれだとよく解説されている。
平均的な日本人にとっては「田中」との遭遇に比べ、「田中宏和」との出会いの確率は低い。いそうでいない「田中宏和」出現率のほど良さが、田中宏和の会の初対面の感激を支えていると言って良い。「佐藤浩一」「鈴木一郎」同士の出会いでは、「わたしたちの名前は多いですよね」という相互の理解確認が先立ち、感動に至らないのではないか。
全国の「田中宏和」の人数を
フェルミ推定してみた
全国の田中宏和の人数を推定したことがある。きっかけは2009年、しばらく会っていなかった従兄弟が田中宏和.comに突然メールをくれた。
日本の総合エレクトロニクスメーカーに勤務している理系の彼は、約18万人の社内データベースを叩いて、山梨支店の田中宏和さんを見つけてくれた。約18万人のうち外国人を除く日本人は約10万人で、そのうち男性はおそらく7万人くらい。
全国津々浦々にまんべんなくいると仮定すると、日本人男性の7万人に1人が田中宏和さんとなる。日本人の男性人口が約6000万人なので、約850人の田中宏和さんがいるのではないかとのこと。フェルミ推定(実際に調査することが難しい数量をいくつかの手がかりをもとに推計する手法)による算出である。
続けてこの頼もしい従兄弟は、「いつしか田中宏和研究(生態数予測)に取り憑かれた自分は、新たに興味深いデータを見つけてしまいました」と2回目の推定結果を教えてくれたのだった。
2002年発行のNTTの電話帳によると195人の田中宏和さんが掲載されていたと言う。電話帳に登録されている世帯主の総数は3000万人。当時の日本の総人口が約1.3億人なので、1.3億÷3000万=約4.3なので、×195人=約840人の田中宏和さんの存在が推定できるとのことだ。
その後も、当の電話グループ社員や最大手鉄鋼メーカー社員のデータを知り、フェルミ推定するに約700~850人の田中宏和さんが現在の推計値だ。この人数をベースに「田中宏和」が別の「田中宏和」と出会う確率をChatGPTo1に問うた。







