「年収が上がりやすい人」
に共通する交友関係の特徴

 多くの人が誤解していますが、成功のカギは、親密な仲間の数ではありません。むしろ、一見すると薄い関係性に見える「弱いつながり」こそが、キャリアを大きく前進させる原動力となります。

 まず「年収が上がりにくい人」の人脈の特徴を見てみましょう。彼らは往々にして、強い絆で結ばれた限られた人間関係(親友、同じ部署の同僚、学生時代から続く仲良しグループなど)の中で生活しています。

 こうした強いつながりで構成されるコミュニティは、メンバー同士の同質性や類似性が高く、思考パターンも似通っています。その結果、グループは次第に閉鎖的になり、孤立し、内と外を明確に分けるようになります。新たな情報が入りにくくなり、流通する情報や会話は毎回同じようなものになります。

 親しい相手と毎週会っても、実は新しい話題はそんなにありません。アップデートもなく、ただ心地よい時間を過ごすだけでは、キャリアのチャンスは確実に少なくなっていきます。同じような背景を持つ人たちの間では、新しい仕事の機会や異なる視点での助言を得ることが難しいからです。

 一方、「年収が上がりやすい人」は、様々な業界の知人、年に数回しか会わない大学時代の友人、趣味のサークルで知り合った異業種の人々といった、弱いつながりをたくさん持っています。

 彼らは、複数のコミュニティに片足を突っ込みながら、どこにも完全には所属していない、いわゆる「ハブ人材」であったりします。ハブ人材は、いろいろなコミュニティに関わっているため、当然ながら、そこにはさまざまな情報が入ってきやすくなります。

 また、弱いつながりは、強いつながり同士をつなぐ「ブリッジ」の機能を持っています。弱いつながりを持つ人は、価値のある情報が広く伝わっていく際に、様々なグループの橋渡し役として重要な役割を果たすため、価値ある情報が常に入ってくることになります。

 つまり、弱いつながりを持つこと――これが、転職市場で年収と役職を上げていく人の、人脈の決定的な特徴です。