中学受験に潜む落とし穴

そしてここで問題なのは、「評定平均」という制度上の落とし穴です。現在は一般入試以外の入試形態もとても多いです。しかしそんな中で、推薦入試においてはこうした難関校に居続けることが大きなデメリットになってしまう可能性があります。

学校推薦型選抜において、多くの大学は「高校3年間の評定平均」を重視します。評定とはいわば「通知表の成績」。この評定が4.0以上ないと応募できない大学も少なくありません。

ところが、偏差値の高い中高一貫校では、授業内容が高度であるため、平均点がそもそも低くなりがちです。つまり、偏差値が高い学校に行けば行くほど、評定が取りづらくなるというジレンマが生まれます。たとえ偏差値70の学校では評定は3.2しか取れない生徒が、偏差値50の学校にいれば評定は4.2になる……ということが発生するのです。このシステムを考えると、難関校に居続けることは受験において大きなデメリットになる可能性があるのです。

親が「せっかくいい中学に入ったのだから」と学校にしがみつかせることで、かえって子どもの選択肢を狭めてしまう――そんなケースが現実にたくさんあります。「中学受験で子どもをいい中学に入れれば安泰」というわけでは全くないのです。

(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成した記事です)