
“ポジティブ脳”を作るビタミンDとDHA・EPA。脳機能やうつとも関連があることがわかっているビタミンDは、日本人の大半が不足している栄養素なので、意識して摂取することが大切だ。また「頭がよくなる栄養素」として知られるDHAとEPAも学力アップに必要不可欠な栄養素であるという。本稿は、伊藤明子監修、若宮寿子レシピ作成・調理『頭のいい子が食べている最強レシピ』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。
健康な骨作りを支えて
脳と体を作る栄養素
近年、特に重要なビタミンとして注目されているのが「ビタミンD」です。「ビタミンD」は、鮭やイワシなどの青魚、卵などに含まれ、カルシウムの吸収促進を助け、健康な骨を作る働きをサポートしています。子どもの頃にビタミンDが不足すると、足の骨がO脚にゆがんだり、頭の骨が柔らかいままになってしまったり、ろっ骨が飛び出てしまうなどの症状が現れることもあります。
また、ビタミンDには、健康な骨を維持する以外にも、重要な役割があります。ひとつは、免疫機能の調整です。体内にウイルスが侵入してきた際に、ビタミンDは不要な免疫反応に抵抗して、必要な免疫機能を促すという働きがあります。これにより、風邪やインフルエンザなどのウイルスへの抵抗力を高めることができるのです。
さらに、近年の研究により、脳とも関連があることがわかってきました。大人の場合は、血中のビタミンD濃度が低いと、アルツハイマー型認知症やうつになりやすいという研究データも発表されています。こうしたことからもわかるように、ビタミンDは脳機能調節において、重要な役割を担っています。
ビタミンDの不足は
骨をゆがませる!?
私が行った研究で、2009年~2014年までの間にビタミンDの不足で骨がゆがむ「くる病」と診断された子どもの数は、約4倍に増えたことがわかりました。
このようにビタミンDの不足が加速している背景には、魚離れの食習慣や、日光不足の子ども増えたことなどが考えられます。また、乳児の場合は、親が食物アレルギーを過度に恐れるあまり、卵や魚といったビタミンDを含む食材を、離乳食で導入が遅れたことなども考えらえます。
ビタミンDは、日光に当たることで作られます。食事からも摂れますが、全体の必要量の2割程度です。実に、人間が必要とするビタミンDの約8割が、日光に皮膚が直接当たることで作られているのです。
しかし近年は、極端に日焼けを避け、紫外線をカットしようとする風潮があります。お子さんに、毎日日焼け止めを塗っているという保護者の方も少なくないのではないでしょうか。