台湾の新幹線での騒音対策
改善しなければ降ろされる

 車内の騒音をめぐる議論は海外でも起こっています。

 台湾の新幹線では、2025年9月から「静かな車内」を目指す取り組みを導入。通話時のデッキの移動や、イヤホンの使用、会話時は声量を抑えるよう求めるものです。

 注意しても改善しない場合は、運送契約の打ち切り、つまり列車を降りることを求められます。この取り組みを9割近くの人が支持しているのだとか。

 しかし、一部から「子連れにやさしくない」との批判が上がりました。というのも、短文投稿サイト・スレッズで「子どもを連れた母親が注意を受け、デッキへの移動を促されるのを目撃した」という投稿が注目を集めたのです。

 これについて鉄道会社は「注意対象には子どもは含まれていない」と改めて説明。イヤホンや大声での会話は引き続き注意を促し、子連れには優しい取り組みを整えていくとしました。

ドイツの新幹線では
「サイレントカー」を導入

 一方、ドイツの新幹線ICEには、いわゆる「サイレントカー」が導入されています。静かに過ごしたい人と、そうでない人は車両が分けられており、「サイレントカー」では騒音を立てることはご法度。

 仕事や読書に集中したいなど、車内を静かに過ごしたい人はこの車両に乗ります。こうしたすみ分けはトラブルを未然に防ぎ、良い取り組みの一つと言えるでしょう。

 静けさを求める利用客と、子連れの利用客。双方にとって良い移動空間とするための模索が世界でも続いています。

「かつては自分も子どもだった」「子どもにはやさしくありたい」と思っていても、静かな車内で子どもの声が響くと、ゲンナリする人は少なくないでしょう。それが元で乗客同士のトラブルに発展することもあります。

子連れの母親に
クドクドと説教するおじさん

 ベビーカーの母親にクドクドと説教をするおじさんを目撃したのは都内在住のAさん(40代)。当時の状況を振り返ります。

「平日の昼下がり、私は所用で私鉄に乗っていました。車内はそこまで混んでおらず、7人掛けのロングシートに、2~3人が座っている程度でした。午後のやわらかな日差しに、気持ちよくウトウトしかけたその時でした」

「30代くらいのベビーカーを引いた母親と、2歳くらいの男の子が乗ってきました。その子は、電車に乗ってくるときからぐずっていたので嫌な予感がしました。優先席に母親が座ると、案の定、男の子が大きな声で泣き始めました」

「『やだー!やだー!』としきりに騒いでいます。電車に乗りたくなかったのでしょうか。母親は『シーッ』となだめようとしますが、一向に泣き止む気配がありません。母親はずっと気まずそうに、周りに『申し訳ない』といった目線を配っているようです。私もさすがに同情しましたね」

 すると、1人の男性が近づいていったと言います。

「ほどなくして60代くらいの男性が席を立ち、その親子の方に近づきました。『あのー、うるさいんだよ』と母親に文句を言い始めました」