『渥美清に逢いたい』(マガジンハウス、2024年9月5日発行)表紙より
波乱万丈の人生を生きた、国民的名優の渥美清さん。病気で演じることが苦しくなった晩年も、国民的映画『男はつらいよ』シリーズの主演を演じ続けた。体の不自由な子のファンレターに渥美さんが送った「想像を超えた」言葉とは?テレビ番組での共演をきっかけに渥美さんと親友同士になった黒柳徹子さんと、『男はつらいよ』の山田洋次監督が語り合う。
※本稿は山田洋次・黒柳徹子『渥美清に逢いたい』(マガジンハウス、2024年9月5日発行)の一部を抜粋・編集したものです。
体の不自由な子からの
ファンレターへの返事のテープ
撮影:下村一喜
黒柳 私ね、山田監督とこうして渥美さんのことをお話しするんで、なにか渥美さん関係のものがないかなと思って、家を探したんです。そしたらね、お手紙とテープが出てきたんですよ。
山田 ええ、ええ。
黒柳 体の不自由な子が渥美さんにファンレターを出したんです。そのお返事を渥美さんはテープに吹き込んで送った。おうちの人がそのテープを大事に取っておいて、ダビングしてお手紙と一緒に私に下さったんです。
「黒柳さん。渥美さんと親しくされてご存知でしょうが、映画の中の寅さんのイメージしかわからない私どもは、渥美さんの優しさに触れて今でも思い出、大切にしております。」と手紙にあります。渥美さん、書くのではなくテープにしたのね。面倒だったのかな?
山田 声で伝えるのがいいと思ったんじゃないですか。
黒柳 そうですかね。ちょっとこれ、かけていただいていいですか。渥美さんです。







