日本の花火が
爆撃に聞こえる

 所持金が少なくなってきた頃、福岡に住むウクライナ人の知人から、日本政府がポーランドからウクライナ避難民にチャーター機を飛ばすという情報が届いた。しかもビザが発給され、保証人なしで日本に避難ができて生活費も補助してくれるというので、ポーランドへ引き返したのだった。

「日本についての知識はほとんどありませんでした。日本の文化や食事を紹介したテレビ番組を見て、綺麗な国だなというイメージがあったぐらいで、日本のドラマだと思って見ていたものが、実は韓国ドラマだったということもありました。それでも日本に行こうと思ったのは、できるだけロシアから距離を置いて暮らしたかったからです」

 日本がロシアのすぐ隣だということは、日本に着いてから知ったそうだ。

 日本に到着すると、成田空港近くのホテルで3日間滞在し、住居が決まるまで千葉県内のホテルで過ごしたという。

「街の大きさに驚き、清潔で安全だという印象を受けました。何より人々がとても親切です。買い物に行った時など、私が日本語を全く理解できなくても、面倒がらずに翻訳アプリを使って笑顔でサポートしてくれました」

 やっとのことで戦争から逃れたものの、ウクライナで味わった戦争の恐怖はアリサの心に傷を残していた。

「千葉に滞在していた時に、花火大会があり、花火の音を聞いたアリサが『ママ、攻撃だ!早く逃げよう!!』と叫び、パニックを起こしたことが苦しかったです」

 私も花火の音を聞くと戦場での記憶が蘇り、つい身構えてしまうぐらいだから、子どもならなおさらだろう。

 日本政府からは2人分として1日2500円の支給があり、その他にも政府や企業から支援金が支払われる。埼玉県戸田市のアパートを無料で提供されて、生活を始めた。

日本で結婚し
生活の基盤ができる

 日本での生活に徐々に慣れてきた頃、ユリアは東京で知り合った日本人男性と交際を始めた。