ウクライナ戦争に参加している日本人義勇兵がいる、と聞いた戦場ジャーナリストの横田徹氏。遠い異国の地で活躍する「兵隊ヤクザ」はどんな人物なのだろうか?3度目のウクライナ取材の成果を報告する。※本稿は、戦場ジャーナリストの横田 徹『戦場で笑う――砲声響くウクライナで兵士は寿司をほおばり、老婆たちは談笑する』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

ウクライナの外人部隊に
日本人兵士がいる?

日本人義勇兵のハルさんの刺青日本人義勇兵のハルさんの刺青(著者撮影)

「ジョージア部隊に日本人義勇兵がいるのだけど取材しないか?」

 2022年の53月にジョージア部隊の従軍取材の際にコーディネートをしてくれたリシェットから連絡があった。リシェットは今やこの部隊のマムカ・マムラシュウィリ司令官の右腕として部隊でも一目置かれる存在になり、広報担当として活躍している。

 取材はしたいが1日1500ドルという法外なギャラは払えないと伝えると「ギャラに関しては気にしないから、とにかく取材に来い」と言う。私を拳銃で撃ち殺そうとしていたこともすっかり忘れているようだ。ウクライナ政府軍傘下の外国人部隊の中でも特に精鋭と呼ばれるジョージア部隊に在籍する日本人に興味を持った私は本能の赴くままに二つ返事で承諾した。

 取材の前に何か彼に関する情報はないかと別の義勇兵部隊にいる日本人兵士に連絡を取ると衝撃的な答えが返ってきた。

「その日本人なら知ってます。彼は元ヤーさんで、某宗教団体の入っているビルを爆破したとかで刑務所に入ってたみたいですよ」