写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。
顧客属性を理解し適正レートを算出
今回は、欧州を中心に多くの海外銀行で採用され、当社もその導入を支援している「価値ベースの貸出金利設定」を紹介したい。この手法は、個々の案件のスプレッドを価値ベースで適正に設定することを目指すものであり、以下の二つのアプローチを特徴としている。
一つ目が、「顧客の重要度」や「支払い意思の差」を反映して金利を設定する点だ。信用リスクのみならず、短期的な総合取引の収支や中長期的な利益への貢献度合い、地域経済における重要度等の諸要素を正しく整理する必要がある。
また、他行より金利水準に敏感な顧客もいれば、金利以外で金融機関を評価し金利水準にはさほどこだわらない顧客もいる。銀行内の知見を集めたり、顧客調査を行ったりすることで、顧客属性の理解を進めることが重要である。これらを踏まえて適正な金利水準を算出し、顧客ごとの目標金利や「ウォークアウェイ金利」(これ以上下げるなら取引をやめるという水準の金利)を設定する。
二つ目が、営業現場に金利設定の背景を示し、行員の交渉意欲を向上させることだ。欧州では、金利交渉の実行状況を処遇に反映させるケースも多く見られる。
また、「金利ある世界」を経験してこなかった多くの行員が自信を持って顧客と渡り合えるよう、交渉技術の強化を行う。顧客理解に基づき、交渉の優先順位・方針を設定した上で想定問答を用意し、ロールプレイングを実施。具体的な訴求・説明方法を考えていく。







