地銀決算は「過去20年で最高水準」でも欧米との差は歴然、経費率と利ざやから考える“地銀独自”の競争戦略写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

金利上昇で収益性改善

 昨年以降の日本銀行の利上げにより、各行はプライムレート・預金金利を引き上げてきた。どの地方銀行の収益も足元で好転しているが、これまでどおりのやり方を続けていては、社会の構造変化の波に飲み込まれてしまう。余力の生じている今こそ、貸出や預金、リテール顧客の囲い込み等に関して抜本的な手を打っていく必要がある。本稿では、欧州と北米、日本における先進的な事例・手法を紹介し、地銀の変革に向けた道筋を探りたい。

 銀行の収益性は、金利水準の上昇によって大幅に改善した。例えば地銀(全国地方銀行協会加盟61行合計)の2025年3月期決算は、コア業務純益で前年同期比21.7%増、経常利益で同30.9%増を実現。この水準は過去20年間で最高水準となった。銀行によっては、3ヵ年の中期経営計画を前倒しで達成し、意欲的な新中計を作り始めているところも見られる。

経費率は地銀平均67%、スイスで40~50%

 ただし、この水準をもってしても、欧米の銀行の利益水準とは依然として大きな開きがある。日本の地銀と都市銀行、ドイツ・スイスの銀行における、業務粗利益に対する経費の比率(CIR=Cost Income Ratio)を比較してみたい。