「大手事務所並みは難しいが…」地方弁護士の意外な給料事情とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

2008年頃から報道で聞かれるようになった「弁護士はもう食えない」という言葉。都市部でさえ厳しい状況なら、地方で開業する「マチ弁」はさらに苦境にあるのでは――。しかし、福島県いわき市で弁護士として活動する松本三加氏は、そのイメージを覆す「マチ弁」の意外な現実を語る。※本稿は、内田 貴編著『弁護士不足――日本を支える法的インフラの危機』(筑摩書房)のうち、松本三加氏による執筆パートの一部を抜粋・編集したものです。

人の少ない地方では
弁護士は食っていけない?

 留学から戻りまして、2007年に自分としては2回目の、ひまわり基金設立の法律事務所への赴任をしました。場所は福島県相馬市です。

 東京、北海道紋別、アメリカ留学の経験を生かして仕事をしてみたいという思いを強く持っていました。

 弁護士の仕事量などの1つの視点として、例えば大手衣料品チェーンのお店が出店しているような町であれば、弁護士も十分に業務を行っていけるのではないかと感じました。

 そのような量販店はおそらく、しっかりとしたマーケティング調査に基づいて出店戦略を立てていると推察しますので、その視点は1つの目安になると考えたのです。

 人口がある程度いれば、離婚をする人もいるし、交通事故や相続、犯罪もある。不動産を買ったり貸し借りしたりすればトラブルもあります。

 相馬での任期満了後は、福島県いわき市で開業しました。

 私がいわきで開業してから半年が経った2011年3月11日に東日本大震災が起こりました。それでも何とか同じ場所で仕事をしており、その後に新しく加入してくれた弁護士を含めて、現在は5人で事務所を運営しています。