サワーとビワー

 ランチを食べて午後の授業に出かける際、ヘブンは夜、ビールを買っておいてとトキに頼む。

 夏で陽気もよくなってきて、ビールが飲みたくなったのだろう。

「Buy Some Beer.」

 でも、Beerの意味がトキにはわからない。

「ビアほしい」とヘブンは日本語まじりに言うが、肝心のBeer(ビア)がわからない。

 取り急ぎ、愛想笑いでごまかして、花田旅館の人々に聞くが、彼らもわからないと言う。わかったふりをしたことをトキは激しく後悔する。

 なんとかビアという音から琵琶(びわ)か枇杷(ビワ)と見当をつけたトキは買い物に出る。

 やがてヘブンが帰宅してくる。1日、仕事をしたあと、ビールをぐいっと飲むことを楽しみに帰ってきた。ところが用意されていたのは、ビールとは似ても似つかないものばかりだった。

 琵琶、魚籠(ビク)、稗(ひえ)、鎌、コマ、ゴマ……。

 枇杷は季節が違って手に入らなかった。

「全然違う」とヘブンは困惑。

 そもそも琵琶と魚籠以外、「ビ」がついてない!

 最後にダメ元でトキが連れてきたのは、サワ(円井わん)だった。

 女性を所望では、また洋妾疑惑に戻ってしまうではないか。

 ただ、サワーとビールでアルコール飲料つながりで、ちょっとだけ近づいた。いやいや、サワーと言ったって、サワは飲み物ではない。それに、この時代にサワーがあるのかわからない。海外では、サワー(sour)とは、日本のサワーではなく、蒸留酒+シロップ+果汁(ジュース)によるショートタイプのカクテルだとか。

「わからん」とトキはもうお手上げ。

「どげんしよう」で明日につづく。こんな終わり方、おもしろいけれど、キツネにつままれた気持ちになる視聴者もたぶんいる。

 それにしてもヘブンはサワを小学校の先生とちゃんと覚えていた。日本語を覚えるのも早いし、記憶力もあり、頭脳は優秀なのだと思う。

「ビアを探せ」と言われても何かわからん!トキ(高石あかり)が推測した答えが無茶苦茶すぎる〈ばけばけ第36回〉
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