「自分を捨てて働いて」トキ(高石あかり)が爆発!三之丞(板垣李光人)の態度にイライラが止まらない〈板垣コメント付き・ばけばけ第35回〉『ばけばけ』第35回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年半続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」連載です。本日は、第35回(2025年11月14日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

フミがタエに嫉妬?

 朝、フミ(池脇千鶴)が洗濯物を干している。

「いってきます」とフミに声をかけて出ていくトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)。

 洋妾問題が解決し、松野家に清々しい朝が来た、と思いきや、フミがトキに何か言うことはないかと問い詰める。

 司之介(岡部たかし)も、勘右衛門(小日向文世)も現れて深刻な顔をする。

 3人はタエ(北川景子)のことを心配していた。

 タエを目撃し、尾行して、彼女の惨状を知ってしまったのだ。

 どうしようもないと話していると、三之丞(板垣李光人)が訪ねてきた。

 今日も三之丞は辛気臭い顔をしている。このひとは初登場の頃からずっと曇り顔だ。そのあとにかかる主題歌「笑ったり転んだり」は歌詞が辛気臭い(言い方)ので、どうしようもない気もしないではない。でも彼が心から笑える日がくることを祈りたい。

 辛気臭い(言い方)主題歌明け。三之丞はお金を返しに来た。1円だけ使って9円を返すという。このお金は、傳(堤真一)の遺産ではなく、トキが自分の給金から出したものだった。

 洋妾問題は解決していなかった。トキがメンタル的にしんどい洋妾になろうと思ったのは、タエを救うためだったからで、それがフミを苦しめることになる。

 話の途中でフミがつらそうに席を外す。気にして追いかけてくるトキに、「おタエさまのためなら洋妾になってもいいと思った」のだろうと嫉妬心を顕にする。何度も何度も親子の絆を確認したはずだが、やっぱり生みの親が大事なんだと思ってしまうようだ。