すべてを教えられると、脳は「言われた通りにやればいい」というモードに入ってしまいます。しかし、2割の「考える余地」があると、創造性が自然と刺激されるのです。

 ただし、最初から大きな仕事でこの手法を実践するのはリスクが高いでしょう。

 まずは小さな業務で「残り2割は君のアイデアで進めてみて」と伝えることから始めてみてください。

「任された」という事実は、想像以上の影響力を与えます。きっと、メンバーの目の輝きが変わりはじめるはずです。

 その小さな変化が、やがてチーム全体の大きな進化につながっていくのです。

成果を上げているリーダーが行う
「タスクのチャンク化」とは

 2017~2024年に弊社が行った「働きがい調査」の中で、「自律的に働いているか」を問う質問を設けました(対象17.3万名)。その調査で「自由記入」の設問を設けたところ、3217名が記入。メンバーが自律的に動けない原因の67%が「リーダーからの指示の出し方」にあることが明らかになりました。

 前項では、「80%の指示で主体性を向上させる意義と概要」についてお伝えしました。ここでは、実際の現場で成功している指示の出し方を紹介していきます。

 成果を上げているリーダーが行っていたのが「タスクのチャンク化」を浸透させることです。

 例えば、新人に「来週の定例会議で使う資料『医療業界のDXトレンド』をつくっておいて」と丸投げで伝えたとします。相手は「わかりました」と言ったとしても、内面は「キョトン」が本音です。やったことがないタスクを頼まれたら、ほとんどの人が「何をどうすればいいのかわからない」と思うものです。

 しかし、リーダーはそのタスクを何度もこなしているため、具体的なプロセスが頭の中に入っている。だから噛み合わないのです。

 優秀なリーダーは主要なタスクを処理するステップを細分化(チャンク化)して、チーム内で広めていました。たとえば、先ほどの資料作成ではステップを5つにチャンク化して、このやり方をチームに周知していました。