このように、コンサルファームに残ることにも大きなメリットがあります。

 特に、長期的なキャリアを見据えた場合、「ファームの中でどのような経験を積めるのか?」を慎重に考えることが重要です。

 単に「独立できるから独立する」ではなく、「ファームにいることで得られるもの」と「独立することで得られるもの」を比較し、自分にとって最適な選択をすることが求められます。

独立すべきか?残るべきか?
決断には「中長期の視点」が不可欠

 また、独立を検討する場合には、「尖り」が不可欠です。

 ファームのブランド力がない以上、「この領域なら自分」という専門性がなければ、価格競争に巻き込まれ、継続的な価値提供が難しくなるでしょう。クライアントから選ばれ続けるには、「超大手のブランド」か、「ブティックとしての圧倒的な強み」が求められます。

 これらの背景を踏まえたうえで、最終的にどちらの道を選ぶべきなのでしょうか。

 身も蓋もない結論ですが、「独立すべきか、ファームに残るべきか」に正解はありません。大切なのは、「自分のキャリア戦略にとって、どちらの環境が価値を最大化できるか」という観点で判断することです。

 例えば、すでに特定の専門領域における強みが明確で、既存のクライアントからの信頼が厚い人にとっては、独立という選択は大きな自由と収益性をもたらす可能性があります。また、経営や採用といった事業運営に関心がある人にとっては、自らファームを立ち上げることが長期的な挑戦として適しているかもしれません。

 一方で、若手のうちに独立すると、成長の機会が限定され、実力が頭打ちになるリスクもあります。

 特に、高度な案件やチームでの学びを通じてスキルを磨きたい人にとっては、ファームに残ることが長期的な成長につながります。また、「本当に大きなものを動かしたい」「日本全体に影響するようなテーマに取り組みたい」と考える人にとっては、大手ファームでキャリアを築くことがその志へ近づくための有力な選択肢です。

 今は、働き方の選択肢が広がった時代です。だからこそ、「自由そうだから独立する」「流行っているからやってみる」といった短期的な視点ではなく、その選択が自分の可能性をどう広げてくれるのかという中長期の視点を持つこと。それが、成功する人が大切にしている、たった一つの考え方です。