（1） 大手ファームのブランド力と案件獲得の優位性

　大手ファームの持つ「ブランド力」は、大企業案件の獲得において依然として強い影響力を持っています。

　クライアント企業の多くは、「このファームに依頼すれば一定の品質が担保される」という信頼のもとで契約を結びます。特に、グローバル企業や政府系プロジェクト、大規模なM＆A案件などでは、個人のコンサルタントではなく、ファーム全体としての実績や信用が重要視されるため、こうした案件に携わりたい場合はファームに所属している方が圧倒的に有利です。

（2） チームでの業務遂行による高度な課題解決

　チームで働けることも、ファームに残る大きなメリットの一つです。

　独立して案件を受ける場合、ケイパビリティーを超えた案件を受けることは難しい一方で、ファームでは、専門分野の異なるメンバーと協力しながらプロジェクトを進めることができるため、より高度な課題に取り組むことが可能です。

　成長という観点でも、若手コンサルタントにとっては、優秀な上司や同僚と仕事をすることでスキルを磨く機会が得られる点も魅力です。独立すると、こうした学習機会が減少し、成長のスピードが鈍る可能性があります。

（3） 最新の知見・ナレッジの活用

　また、グローバルナレッジや最新の経営トレンドもファームの規模性が生かされやすく、大手ファームにはそれらを迅速に取り入れる仕組みが整っています。

　独立ファームやコンサルタントが自ら情報収集を行うには限界がありますが、大手のファームに所属していることで、組織全体の知見を活用しながら、最新のベストプラクティスを提供することが可能です。クライアントに対する付加価値を高めることができるだけでなく、自身の専門性もより効率的に深めることができます。

（4） 収益の安定性と組織としての継続性

「組織としての継続性」という強みも見過ごせません。一定以上のファームであれば、全体として一定数以上の案件を同時に抱えることができるため、一部のプロジェクトが終了しても、次の案件にスムーズに移行でき、安定した収益基盤を維持しやすい環境になっています。

　一方で、個人コンサルタントやフリーランスは案件ごとに契約を結ぶことが多く、長期的な収益が安定しづらい側面があります。特に、景気の変動などによってプロジェクトの発注が減少した際には、独立コンサルタントは直接的な影響を受ける可能性が高いです。