コックピット・ウィンドウ(下方の緑の板状のもの)を購入した黒川倫叶さん。後ろに写り込んでいる英数文字は、機体識別番号が書いてある胴体外板を切り出した“特製ナンバープレート”コックピット・ウィンドウ(下方の緑の板状のもの)を購入した黒川倫叶さん。ちなみに後ろに写り込んでいる英数字が、機体識別番号が書いてある胴体外板を切り出した“特製プレート” Photo by Koji Kitajima

「航空ジャンク市」は退役した飛行機を解体して出たパーツや、エアラインで使わなくなったアイテムを販売する蚤の市イベントだ。マニア垂涎のお宝が並ぶ会場を潜入取材したところ、1万円札が飛び交う爆買いっぷりに感動。主催者は、羽田空港で事故に遭ったJAL機を迅速に撤去した、知る人ぞ知る地方企業だった。社長が明かす、「航空機の終活」にビジネスチャンスを見いだす理由とは?(航空ジャーナリスト 北島幸司)

1万円札が飛び交う!
熱狂の爆買い現場に潜入

 11月1日、富山空港で「航空ジャンク市」なるものが開催されると聞きつけ、東京から朝一番で会場に向かった。開始は午前10時で、少し早めに会場に到着したが、すでに長蛇の列。スタート時間が少し早まると、来場者は我先にと会場へ吸い込まれていく。その熱気に筆者も圧倒されつつ、戦利品をゲットして笑顔の購入者らに話を聞いて回った。

 日系エアラインのボーイング747-8Fを整備した際に出た巨大なコックピット・ウィンドウを、3万円で購入していた黒川倫叶さん。買った理由を尋ねると、「自宅をフライトミュージアムのようにしていて、救命胴衣や酸素マスクなどを飾っています。模型では満足できなくて、実際に空を飛び、風圧に耐えた部品にこそロマンと技術の重みを感じます」という。今日買ったコックピット・ウィンドウは、「ただ飾るだけでなく、実用的なガラスのテーブルとしても使えそうです」と嬉しそうに語った。