シンガポール国立大学(NUS)リー・クアンユー公共政策大学院の「アジア地政学プログラム」は、日本や東南アジアで活躍するビジネスリーダーや官僚などが多数参加する超人気講座。同講座を主宰する田村耕太郎氏の最新刊、『君はなぜ学ばないのか?』(ダイヤモンド社)は、その人気講座のエッセンスと精神を凝縮した一冊。私たちは今、世界が大きく変わろうとする歴史的な大転換点に直面しています。激変の時代を生き抜くために不可欠な「学び」とは何か? 本連載では、この激変の時代を楽しく幸せにたくましく生き抜くためのマインドセットと、具体的な学びの内容について、同書から抜粋・編集してお届けします。
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ワンパターンの生活では、
自分の思考の世界が狭くなるだけ
同じ場所にいて、同じ人に囲まれて、同じような毎日を繰り返していたら、好奇心は枯れてしまう。
「なんでもワンパターンの生活で、なんでも知ったような気になってしまう」からだ。
それは、単に「自分の思考の世界が狭くなっている」だけだ。
私は、行く場所や行き方や出会う人を、できるだけ毎回変えるようにしている。
いつでも不便さ、ハプニング大歓迎という行程を組んである。
会ったことのある人とは、よほどのことがない限り、あえて会わないとか。
そうすると、行ったことのある場所に行っても、発見だらけであり、好奇心がどんどん掻き立てられる。
よくわからないメンバーから腑に落ちない、不思議としか思えないような機会に誘われたら、そういう誘いも何かのご縁! ということも含めて、不透明さ不可解さ大歓迎と、真っ先にイエスと返事をして予定に入れる。
そして決意を固めるため、その場でチケットも買ってしまう。
ハプニングだらけの家族旅行が
いい学びの機会になる
旅の思い出は、快適な想いよりハプニングのほうが強く残る。
美しい景色や素晴らしい方、美味しいものとの出会いも忘れられない思い出だが、ハプニングは、その後、何年も真っ先に思い出されてくる。
・休みの日にすべてのお店が閉まっていたり
・搭乗ゲートが知らないうちに変更になり、乗り継ぎに乗り遅れそうになって走ったり
・言葉が通じなくてまったく意思疎通できなかったり
・時差ぼけのまま高級レストランに入って料理の合間に眠ってしまったり……
一番いいのは、家族で同じ部屋に寝て、三食をともにして、ヒマな時間に今まで話せなかったようなことまで、外国の雰囲気のおかげで話ができたりすることだ。
皆で力を合わせて目的地までの道やお店を見つけたり、荷物を運び合ったり。
一緒に住んでいるだけでは、わからない発見がいろいろある。
ハプニングいっぱいの旅に出て、一緒に楽しんで失敗して、力を合わせて課題解決する家族旅行は、とてもいい学びの機会だ。
(本稿は『君はなぜ学ばないのか?』の一部を抜粋・編集したものです)
シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院 兼任教授、カリフォルニア大学サンディエゴ校グローバル・リーダーシップ・インスティテュート フェロー、一橋ビジネススクール 客員教授(2022~2026年)。元参議院議員。早稲田大学卒業後、慶應義塾大学大学院(MBA)、デューク大学法律大学院、イェール大学大学院修了。オックスフォード大学AMPおよび東京大学EMP修了。山一證券にてM&A仲介業務に従事。米国留学を経て大阪日日新聞社社長。2002年に初当選し、2010年まで参議院議員。第一次安倍内閣で内閣府大臣政務官(経済・財政、金融、再チャレンジ、地方分権)を務めた。
2010年イェール大学フェロー、2011年ハーバード大学リサーチアソシエイト、世界で最も多くのノーベル賞受賞者(29名)を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で当時唯一の日本人研究員となる。2012年、日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。ミルケン・インスティテュート 前アジアフェロー。
2014年より、シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授としてビジネスパーソン向け「アジア地政学プログラム」を運営し、25期にわたり600名を超えるビジネスリーダーたちが修了。2022年よりカリフォルニア大学サンディエゴ校においても「アメリカ地政学プログラム」を主宰。
CNBCコメンテーター、世界最大のインド系インターナショナルスクールGIISのアドバイザリー・ボードメンバー。米国、シンガポール、イスラエル、アフリカのベンチャーキャピタルのリミテッド・パートナーを務める。OpenAI、Scale AI、SpaceX、Neuralink等、70社以上の世界のテクノロジースタートアップに投資する個人投資家でもある。シリーズ累計91万部突破のベストセラー『頭に来てもアホとは戦うな!』など著書多数。



