質の高いジャーナリズムは、民主主義の基盤であり、同社は継続的に資金調達する方法を模索し続けなくてはならない。このような方向性に異論を唱える人はおらず、話し合いが進んでいった。
次に、スミス氏は経営上層部の懸念事項と考えを聞いた。彼らの意見をもとに、ベテラン記者やその他の専門家の助言も受けながら、コンテンツ課金のモデル設計を支援した。
最終的な課金モデルの設計が終わっても、スミス氏は、悠然と勝利宣言をしたりはしなかった。
それどころか、もう一度荷物をまとめ、経営幹部とのミーティングに出かけ、現場を再訪し、最終的な決定の詳細と採用された提案について説明した。どういう経緯と理由で彼らの意見が最終的なモデルに取り入れられたのか、または取り入れられなかったのかを明らかにした。
当初は疑問と不信感を呼んだデジタルコンテンツ有料化のビジネスモデルプロジェクトだったが、勢いを得て予定どおり実施に移された。
結果は大成功で、特に記事の品質に定評がある同社のオーストラリアン紙は目ざましい成果をあげた。プロジェクトはグループと業界全体を通じてロールモデルになった。
この事例が示すとおり、LDCは、仲間を動員する上で強力なテクニックなのだ。
社内の人間を巻き込んで
プロジェクトを推進する
誰でもヒーローになりたいものだが、それを実現する最良の方法は、責任と称賛を分かち合うことだ。
マーケターにとって、社内で別の役割を担っている人たちを仲間にすることは、大きな成功を早く手に入れるための最高の手段になる。
プロジェクトを実施するときは、できる限り、他の部署の社員に呼びかけ参加してもらおう。社内で緊密なネットワークを構築でき、他の部署の人たちを活気づけ、協力して大きな課題に取り組めるだろう。
社員に働きかけるために社内を歩き回るときは、意味のある会話をする必要がある。ここで気をつけなくてはならないのは、難しい問題から逃げてはいけないということだ。こうした問題を見つけ出して対処しなければならない。特に、根が深い問題ほど見逃してはならない。
どんな企業にも、口に出すのもはばかられるような恐ろしい重大問題がある。







