いわゆる「部屋の中の象(elephant in the room)」、つまり、誰もが見ているはずなのに、触れたがらない問題だ。
部屋の中の象について話をしない理由はいろいろある。きっと、あまりに重大な問題なので解決できないと考えられているのだろう。
同僚に教えを請うことで
みなが前向きに取り組むように
または、正面から向き合うのは文化的に好ましくないと思われているのかもしれない。ネガティブな人だと思われたくないので、話題に出さない場合もある。
マーケターは、セールス担当者や技術者と同じく、ポジティブなことに着目したがるものだ。
しかし、象に取り組まなければ、少なくとも象について言葉に出さなければ、始める前から行き詰まってしまうだろう。
米国やオランダやイスラエルのように、はっきりとものを言う文化であれば、「話し合わなければならない課題がある」と率直に切り出すことが多い。
『世界のトップマーケターだけが知っている「12の成功法則」』(トーマス・バルタ著、パトリック・バーワイズ著、田中恵理香訳、日経BP)
筆者が共に仕事をしてきたリーダーの中には、上下関係が明確で礼儀を重んじる文化から来た人もいた。こうした文化では、最大の障害物についてそれとなく話題にする方法を探さなくてはならない。
象をつきとめるスマートな方法はないものか?周囲の人に「私たちのプランがうまくいくためには、どんな準備が必要か」と尋ねてみてはどうだろう。大事な条件をすべて挙げてもらう。
さらに「どうすればそれぞれの条件を整えられるか?」と聞く。それほど苦労しなくても、話が象に向かっていくだろう。そうすれば、狙いどおり、ポジティブなやり方で問題を明らかにできる。
象を名指ししたからといって、必ず相手にできるとは限らない。それでも、一度特定できれば、少なくとも、その周辺にある問題の解決を試みることはできるはずだ。







