2つ目は、介護について学び始めることです。特に知ってほしいのは認知症についてです。要介護になる原因の第1位は認知症ですから、誰にでも可能性はあります。MCI(軽度認知障害)の段階で気づけば状態を改善することができます。
また、介護保険制度の利用法、親の住む地域のサポート制度などを知っておくことも大切。「〇〇市・高齢者のしおり」など、親が住む街のハンドブックを役所でもらっておくと便利です。
聞きづらいナイーブなことは
日常会話に混ぜてさり気なく
親が高齢になると、将来に関する重要な意思決定を親自身ができなくなる事態が発生します。たとえばステージ4のがんが見つかってからでは「延命治療をする?」とは聞きにくいもの。認知症が進んでからだと、今後どうするかを聞いても本人が要領を得なくなってしまいます。
自宅をバリアフリー化して長く暮らしたいのか、要介護になったら自宅は処分して介護施設に入所してもよいのかなど、早めに聞いておくと、いざというときの対応がスムーズです。
親が「死ぬまでこの家で暮らしたい」と言った場合でも、「介護が必要になったらどうする?」と、もう少し深く聞いておきましょう。親の希望をかなえるため子どもが無理をしてまで在宅介護をすることなど親は望んでいないはずです。
おすすめは、日常会話に下のような話を加えることです。「友達の親が倒れたんだけど、キャッシュカードの暗証番号がわからなくて苦労したんだって」「同僚がお母さんの介護をするって、会社辞めちゃったの」など、遠いところから攻めていくのがポイント。
くれぐれも詰問したり、子どもの考えを押しつけたりするのは避けましょう。
同書より転載 イラスト/坂木浩子(ぽるか) 拡大画像表示







