山口達也株式会社山口達也の公式サイトより

元TOKIOの山口達也さんが「アルコール依存症」の実体験を講演した内容が話題です。かつて飲酒運転で事故を起こし、現時点では5年間断酒しているものの、「次にお酒を飲むと、誰かを殺すと思っています」(NBC長崎放送)などと赤裸々に語り、アルコール多飲が一因で骨が腐る難病「大腿骨頭壊死」も患っていると告白しました。体は元気で、仕事も順調だったという山口さん。なぜ人はアルコール依存症に陥るのでしょうか。「誤ったストレス対処が引き起こす、アルコール依存症の沼」について産業保健師が解説します。(エムステージ産業保健事業部 保健師業務マネージャー 本田和樹)

元TOKIO・山口達也さんも罹患
働く人の身近に起き得るアルコール依存症

 産業保健師はさまざまな企業の従業員と面談を行います。その中で、「違和感」はすぐ分かるものです。先日ある面談で、話が噛み合わない、呂律も回っていない方がいました。この方の診断書などの情報を見て納得。その方は、アルコール依存症でした。なんと、勤務時間中にも酒を飲み業務が回らない、何も覚えていないというのです。

「令和6年版 厚生労働白書」によると、アルコール依存症の患者は10万人以上いて、薬物依存症やギャンブル依存症と比べても圧倒的に多いことが分かります。潜在的な患者数を含めると、もっと多いでしょう。

 元TOKIOのメンバー山口達也さんのように、働き盛りの世代ほど、アルコール依存症やその予備軍になる可能性は大いにあります。そして一度アルコールへ依存してしまうと、自力で断ち切るのは困難です。

 それでは、人はなぜ依存症に陥るのでしょうか。端的に言えば、「誤ったストレス対処」をしているからです。