ストレスの「正しい対処法」とは?
思うこと全部、紙に書き出してみよう

 それでは、ストレスの「正しい対処法」とは何でしょうか? 筆者は、「ストレスコーピング」を身に付けることをおすすめします。具体的な実践方法は、(1)ストレスの原因を把握する、(2)解決策を考えて実践する、(3)解決されたかを振り返る、です。

 まず、自分が抱えているストレスの原因を把握するために、紙に書き出してみましょう。言語化により、客観的に考えて対策を練ることができます。

 次に、原因に対して考え得る解決策も思いつく限り書き出してみましょう。そして、ひとつずつでいいので実践します。

 対人関係の悩みには、相手と話し合って解決策を探るなどストレス原因そのものを解決する(問題焦点型コーピング)か、感情を調整する(情動焦点型コーピング)を試してみましょう。

 好きなものを食べたり、映画を見たりして「気分転換する」のは、後者の有効な方法です。また、他にも「こうあるべきだ」「人を頼ってはいけない」という思い込みから解放され、自分の考え方を修正することも、情動焦点型コーピングの一手法といえるでしょう。

 実践できたら、ストレスが解決されたかを振り返ります。もし解決されていなくても落胆せずに、別の方法を試すことが大切です。ストレスが解決できたら自分の中での成功体験になります。小さな成功体験を積み重ねることで、自信を持てるようになり、自己肯定感が高まります。

 ひとりで抱え込まず、周囲の人と相談しながら進めると、なお良いでしょう。相談できる人がいなければ、職場の制度を活用してみてください。企業には、従業員の健康を守るための取り組みが義務付けられています。

 ストレスチェックは従業員数50人以上の企業にのみ実施が義務付けられていましたが、2024年の法改正により、従業員数50人未満の企業にも実施が義務化される方針です(現在は施行に向けた準備期間)。ストレスチェックは、自身が知らず知らずのうちに抱えているストレスやその傾向を把握し、正しい対処につなげることに役立ちます。

 職場の健康を守る専門家として、産業医や、筆者のような産業保健師もいます。ぜひ相談してみてください。依存症は一度陥ると、自身や周囲の力だけで解決することは難しいです。決して他人事ではなく、働き盛りの世代こそ陥るリスクがあることを忘れないでください。ストレスへの正しい対処法を身につけることが、依存症の予防につながります。

元TOKIO・山口達也「次に酒飲むと誰かを殺す」と告白、アルコール依存症の沼を専門家が解説