電話をかけたのがアリアの人なら?
この問題のポイントは、電話の声の主がアリア、レガート、フェルマータのどの町の住人かによって、言葉の真偽が変わることです。
はたして声の主は、どの町の住人なのでしょう。
ひとつずつ考えていきましょう。
もし電話をかけたのが、いつも真実を言うアリアの人なら?
“???「私の町で火事です!」”
“消防士「場所はどこですか?」”
ここまでは問題ありません。
“???「フェルマータです」”
いつも本当のことをいうアリアの人なら、ここで「アリアです」と答えるはず。
しかし「私の町」を「フェルマータ」と言って嘘をついています。
したがって、電話をかけたのはアリアの人ではありません。
電話をかけたのがレガートの人なら?
では、電話をかけたのがいつも嘘をつくレガートの人なら?
“???「私の町で火事です!」”
“消防士「場所はどこですか?」”
あいかわらず、ここまではとくに問題なさそうですね。
“???「フェルマータです」”
いつも嘘をつくレガートの人なので、自分の町が「フェルマータ」だと嘘をついても何も問題ありません。
電話をかけたのはレガートの人が第一候補です。
電話をかけたのがフェルマータの人なら?
では、電話をかけたのが真実と嘘を交互に言うフェルマータの人なら?
“???「私の町で火事です!」”
“消防士「場所はどこですか?」”
あいかわらず、ここまではとくに問題なさそうですね。
“???「フェルマータです」”
本当のことと嘘を交互に言うのがフェルマータの人。
すなわち、
「私の町で火事」←本当
「火事が起きているのはフェルマータ」←嘘
もしくは
「私の町で火事」←嘘
「火事が起きているのはフェルマータ」←本当
のどちらか。
パターン①はありえません。
フェルマータの人が言った「私の町で火事」が真実なら、火事が起きているのはフェルマータであるはず。
それなのに、嘘をつくはずの2個目の発言で「火事が起きているのはフェルマータ」と真実を言ってしまっています。
パターン②もありえません。
フェルマータの人が言った「私の町で火事」が嘘なら、火事が起きているのはアリアかレガートであるはず。
それなのに、真実を言うはずの2個目の発言で「火事が起きているのはフェルマータ」と、嘘を言ってしまっています。
どちらの場合も矛盾してしまいます。
つまり電話をかけたのはフェルマータの人ではありません。
これらを考えると、電話をかけてきたのはレガートの人であり、消防士たちが向かうべきはレガート……
……あれ?
電話の主がレガートの人だとしたら……
「フェルマータに住む人は真実と嘘を交互に言う」
ということで1個目の発言を吟味しましたが、これって電話の主がレガートの人である場合も同じことが言えないでしょうか?
電話をかけてきたのがアリアの人でもフェルマータの人でも、矛盾が生じてしまう。
なので、電話をかけてきたのはレガートの人。
ここまではいいですね。
だから、消防士たちはレガートへ向かうべき……。
だと思ったのですが、
“???「私の町で火事です!」”
電話の声の主がレガートの人であるなら、
この1個目の発言も嘘であるということになります。
火事が起きているのはどこ?
この場合、いったいどうなるでしょうか。
問題文から“3つの町のうち1つで火事が発生している”ことは確定しています。
つまりレガートの人の1個目の発言は、「私の町ではない町で火事が発生している」ということを指します。
よって実際に火事が起きているのは、アリアかフェルマータのどちらかです。
でもこれだと2択にしか絞れません。
どうしましょう。あわあわ。
……落ち着いて考えましょう。
レガートの人が2個目の発言で「(火事が発生しているのは)フェルマータだ」と言っていることに注目します。
もし本当にフェルマータで火事が起きているなら、ここでレガートの人は本当のことを言っていることになってしまいます。
これはありえません。
つまり、火事が起きているのはアリアです。
消防士たちはアリアに向かうべき
「思考」のまとめ
1つずつパターン分けすれば秒で解けるだろうと思ってましたが、意外とややこしかったですね。とくに「私の町で火事です!」が本当なのか嘘なのかを疑わないといけないあたり、頭がショートしそうです。一度「これだ!」と判断した可能性でも、もう一度振り返ってみることは大切ですね。それによって、見落としていた真実に気づけることもあると思います。
それにしても、この問題の状況は恐ろしいですね……。あらゆるパターンを考えた上で、いちばん最初に候補から外してしまいたくなるアリアに向かわなければならないとは。こんな緊急のときくらいは、嘘をつかないでくれると助かるのですが……。
POINT
・仮定にもとづいて事実を検証していく際は、「考え漏れ」や「見落とし」がないか慎重に確認することが大事
(本稿は、『もっと!! 頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から抜粋した内容です。書籍では同様の「読むほどに賢くなる問題」を多数紹介しています)








