写真右下で、ベストとヘルメットを着用し、後方を見て車両を運転しているのが江の川鐵道のメンバーであり、住民でもある。その車両に乗車している人たちが交流人口で、地域外から訪れている。料金を支払って乗車しており、観光客と言い換えても良いだろう。
一方、車両の左側、ホームから手を振っている人たちは、住民ではなく、同様に地域外から訪れている。
しかし、トロッコ型車両に乗るのではなく、江の川鐵道の一員として、トロッコ型車両の安全運行を担っているのだ。モノクロ写真だとわかりにくいが、住民と同じ色のベストやヘルメットを着用していることが象徴的だ。
住民は、「関係人口はお客さんではなく仲間だ」と信頼し、「関係人口がいるから運行できている」と感謝していた。両者の間には、顔の見える仲間のようなつながりがあるのだ。
交流人口も関係人口も地域外から訪れている。ただ、交流人口は客であるのに対し、関係人口は運行の担い手になっており、役割が異なる。
地域にとっては、交流人口も関係人口も、同じように大切だ。どちらかだけしか必要ない、もしくは、どちらが優れているのかといった優劣をつける性質ではない。
ファンや推し活と違い
消費者の枠を飛び越えた
関係人口の話題になると、「(特定の)地域のファンのことですね」と言われることが少なくない。たしかに、両者は重なる点も多く、ほぼイコールと言いたいところだが、異なるポイントもある。
ファンとは、一般的に特定の対象に特別な関心や愛着を持つ人を指す。
『ファンベース』の著者・佐藤尚之は、ファンとは支持者であり、「企業やブランド、商品が大切にしている「価値」を支持してくれる人」と定義している。関係人口は特定の地域に関心を持って価値を支持している人たちで、この点は同じだろう。
また、最近定着してきた言葉に、推しがある。自分のお気に入りや他人に薦めたい対象を指す。その対象に強い愛着や貢献する行動を広く捉えて「推し活」と呼ぶことも認知されつつある。







