つながりは、「つながりの学問」とも言われる社会学でも、古くから論じられてきたテーマだ。近年では「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」と呼ばれる概念で説明されている。

 ただ、つながり=社会関係が「資本」になるとは、少し意外かもしれない。

 社会関係資本の注目のきっかけをつくったアメリカのロバート・パットナムの『孤独なボウリング』(2006年)によると、社会関係資本は、単なる情報伝達のネットワークとは区別され、信頼や互酬性などの質的要素が加わったつながりを指している。

 たとえば、互いに目を配って犯罪率が低くなっている地域では、他の住民に会釈しないような人でも、その利益を得る。だからこそ、地域の再生には社会関係資本が欠かせないと、パットナムは訴えたのだ。

 日本でも、2003年に内閣府国民生活局が、社会関係資本の豊かな地域ほど、合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産むと推計される子どもの平均的な数を示す指標)が高いという調査報告書をまとめた。

 また、この報告書のなかで、社会関係資本の値は大都市より地方の方が相対的に高いことが示されている。