考えられる選択肢とは

 3つの箱、3つのラベル、そして2つずつのボール。
 シンプルに見えて情報量が多い問題です。
 鍵になるのは、問題文にあるこの一文。

 “どのラベルも箱の中身を正しく表せていない。”

 なので、ありえる状況は以下のとおり。

『白白』のラベルがついた箱の中のボールは「白・黒」か「黒・黒」
『黒黒』のラベルがついた箱の中のボールは「白・白」か「白・黒」
『白黒』のラベルがついた箱の中のボールは「黒・黒」か「白・白」

 つまり、箱と中身の組み合わせとしてありえるのは以下の2パターンのみ。

・中身のパターン1
 ラベル『白白』――中身「白・黒」
 ラベル『黒黒』――中身「白・白」
 ラベル『白黒』――中身「黒・黒」
・中身のパターン2
 ラベル『白白』――中身「黒・黒」
 ラベル『黒黒』――中身「白・黒」
 ラベル『白黒』――中身「白・白」

なぜ2パターンに絞られる?

 なぜこの組み合わせに限定できるのか。
 順を追って考えてみましょう。

 たとえばラベルが『白白』の箱の中身が「黒・黒」である場合。
 このとき、ラベルが『黒黒』の箱の中身として考えられるのは「白・黒」か「白・白」ですが、もし「白・白」だとすると、何が起こるでしょう?

 唯一残っている『白黒』のラベルの箱の中身が、「白・黒」だということになります。
 これでは、問題文にある「どのラベルも箱の中身を正しく表せていない」という状況と矛盾してしまいます。
 よって、この可能性はありえない。 
 このように考えていくと、箱の中身は先ほどの2パターンに限定されるのです。

ボールを取り出すべき箱

 さて、何か気づかないでしょうか?

 ……そうですね、『白黒』のラベルの箱に明らかな特徴があります。
 ここに入ることのできるボールは「黒・黒」か「白・白」のどちらかのみ。
 つまり『白黒』のラベルの箱には、

 かならず2つとも同じ色のボールが入っています。

 ということは、箱の中のどちらのボールを取り出しても、残ったボールは取り出したボールと同じ色であることが確定しています。

 たとえば、ラベルが『白黒』の箱からボールを1個取り出して、それが「黒」のボールだったら、箱の中身は「黒・黒」のボールだということ。
 この瞬間、3つの箱の中身は「パターン1」であると確定します。
 すなわち、『白白』ラベルの箱の中身は「白・黒」で、『黒黒』ラベルの箱の中身は「白・白」のボールだとわかります。

『白黒』ラベルの箱から引いたのが「白」のボールであっても同様です。
 その場合、3つの箱の中身は「パターン2」であると確定します。

 一方で、『白白』『黒黒』の箱からボールを取り出した場合、取り出したボールの色によっては、もう1個のボールが何色なのか、箱と中身のパターンは1と2のどちらなのかを確定できません。

 ということで、『白黒』ラベルの箱からボールを取り出すのが正解です。

<正解>
白黒』ラベルの箱

「思考」のまとめ

 いっけんすると情報が足りないように感じてしまう状況。でも、ひとつの情報をもとにしっかり考えれば、じつは全体像が見えてくるなんてことはよくあります。

 たくさんの情報があれば安心できますが、収集には時間がかかりますし、それが目的となって「情報を集めて終わり」になってしまうこともあります。
 社会人になると、こういう無駄な時間を過ごしてしまうこと、かなりあります……。いろんなデータを集めてみたけど、「これで何をすればいいんだろう?」と途方にくれたりとか。こういった無駄を省くために、論理的思考が存在しているんだと思います。

 複雑そうに見える問題と向き合うときは、闇雲に情報を漁るよりも、まずはわかっている情報を整理してみましょう。それだけで道筋が見えてきたりしますから。

 POINT
・「情報はたくさんある方がいい」とは限らない
・情報が少なくても、「そこからわかること」はたくさんあるかもしれない

(本稿は、『もっと!! 頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から抜粋した内容です。書籍では同様の「読むほどに賢くなる問題」を多数紹介しています)