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整備新幹線の貸付料をめぐる議論が動き出した。国土交通省は11月4日に「今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会」を設置し、6日に第1回委員会を開催した。12月から来年1月にかけて実施されるJR各社のヒアリングを前に論点をまとめてみたい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
JR各社が支払っている
整備新幹線の貸付料とは
整備新幹線は国交省管轄の独立行政法人である鉄道・運輸機構がJR各社に貸し付けて運行している。この貸付料は開業から30年間定額で設定されるが、31年目以降の扱いは決まっていなかった。北陸新幹線高崎~長野間が2027年に開業30年を迎えることを受け、2026年夏までに議論をまとめることになった。
整備新幹線とは、国鉄時代に開業した東海道、山陽、東北、上越新幹線に続く路線として計画された、北海道、東北(盛岡以北)、北陸、九州(鹿児島・長崎ルート)の5線区を指す。オイルショックと国鉄再建で計画が凍結されたが、国鉄民営化後に政治主導で再開し、北陸新幹線敦賀延伸開業まで1000キロ以上が整備され、北海道新幹線新函館北斗~札幌間211.8キロが建設中だ。
これらの線区は在来線の輸送力逼迫で建設された東海道新幹線などと異なり、輸送量が少なく、赤字が見込まれる路線だった。JR各社は「赤字路線の押し付けは国鉄の二の舞」として引き受けを拒否したため、国が公共事業として建設してJRが運行する「上下分離方式」で整備された。
JRの支払う貸付料は、新幹線開業で得られる収益と、並行在来線の経営分離による収支改善(赤字減少)を足した「受益」の範囲内で決定される。最多は北陸新幹線高崎~長野間の年175億円、最少は北海道新幹線新青森~新函館北斗間の年1.14億円だ。







