韓国・釜山で行われた日米首脳会談を前に手を振る習近平国家主席(右) Photo:Andrew Harnik/gettyimages
米高関税でも底堅い中国の輸出
背景に輸出・産業構造の高度化
中国経済では少子高齢化が深刻化する中で不動産市場や内需の停滞が続いている。こうした中国経済の影の部分に着目するエコノミストからは「日本化」論を含めた悲観論が多く聞かれる。
しかし中国経済の先行きを的確に判断するには、中国が長期国家戦略に基づいて産業構成や輸出構造の高度化を急速に進めているという光の部分を軽視してはいけない。
中国は2015年にハイテク産業育成策「中国製造2025」を発表し、米国へのキャッチアップを図ってきた。次世代戦略産業でも多くの領域で中国が圧倒的な優位性を持ち、日本を含めた先進国の大きな脅威となっている。
これに続いて今年10月公表された第15次5カ年計画では、産業構造の一段の高度化を図ると共に、米国の制裁の影響を受けない中国独自のバリューチェーンを構築する「自立自強」を加速する方針が打ち出されている。
実際ここ数年の中国の輸出・産業構造の変化は、トランプ関税に対する輸出の底堅さという形で大きな成果を既に挙げている。
中国の実質輸出は22年頃から増勢を強め、米国の関税政策の影響も限定的なものに止まっている(図表1)。これは前倒し輸出(昨年末から4月までトレンド対比7%程度上振れした程度)だけでは説明出来ない。








