「たった一言で信頼を失う」社外プレゼンの絶対NGワードとは?1
「1つに絞るから、いちばん伝わる」
戦略コンサル、シリコンバレーの経営者、MBAホルダーetc、結果を出す人たちは何をやっているのか?
答えは、「伝える内容を1つに絞り込み、1メッセージで伝え、人を動かす」こと。
本連載は、プレゼン、会議、資料作成、面接、フィードバックなど、あらゆるビジネスシーンで一生役立つ「究極にシンプルな伝え方」の技術を解説するものだ。
世界最高峰のビジネススクール、INSEADでMBAを取得し、戦略コンサルのA.T.カーニーで活躍。現在は事業会社のCSO(最高戦略責任者)やCEO特別補佐を歴任しながら、大学教授という立場でも幅広く活躍する杉野幹人氏が語る。新刊『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』の著者でもある。
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「たった一言で信頼を失う」社外プレゼンの絶対NGワードとは?
社外プレゼンが上手くできずに苦しんでいるビジネスパーソンは多い。営業職だけではなく、さまざまな職種で社外への提案や発表などで社外プレゼンの機会がある。しかし、社外プレゼンはより馴染みのある社内プレゼンとは大きく異なる。
社外プレゼンの一番の特徴は、社内プレゼンと比べて、相手が聞くことに努力してくれないことだ。社内の人間は好き嫌いがあったとしても、同じ目的を追う仲間だ。仲間なので、プレゼンがわかりにくくても最後まで聞いてくれたり、わからなかったら質問してくれたりと、聞く努力をしてくれる。
しかし、社外プレゼンの相手は親しい人であったとしても、同じ目的を追うような仲間ではない。プレゼンの内容がわかりにくかったら最後まで聞かずにスマホを開くかもしれないし、わからなかったら質問もせずに去って二度と話を聞いてくれないかもしれない。
社外プレゼンはより相手に負荷をかけてはいけない
このため、社外プレゼンでは、社内プレゼン以上に、聞いてくれる相手に情報処理の負荷をかけてはいけない。
伝えていることの情報処理に負荷がかかるようだと「もういいや」となって、聞く努力をしてくれなくなる。それがたった一箇所だったとしても、そこで一度でも相手の集中が途絶えてしまったら、もう以降の内容は伝わらなくなり、プレゼンがそこで終わってしまうこともあるのだ。
「自分の言葉」ではなく「相手の言葉」で伝えよう
では、社外プレゼンではどんな言葉を使うとよいか。それは「相手の言葉」だ。
例えば、商談の場面で次のように相手から言われていたとする。
「今回はクオリティよりも、スピード重視でお願いしたいです」
「クオリティよりも」は、完成度を優先するよりもという意味だろう。「スピード重視」は、可能な限り早くという意味だろう。そこで、1週間後のプレゼンの場面で、こちらからは冒頭にこう1メッセージで伝えるとどうだろうか。
「今回は、完成度を優先するよりも、可能な限り早く対応します」
もちろん伝わる。だが、相手は新しく出てきた言葉の“完成度を優先する”や“可能な限り早く”とは自分の“クオリティより”や“スピード重視”という言葉と同じだろうかと考えてしまい、余計な情報処理の負荷がかかってしまう。社外プレゼンではそれは致命傷になって相手の集中を途絶えさせてしまうかもしれない。
この場合は“完成度を優先する”や“可能な限り早く”という「自分の言葉」を使うのではなく、次のように「相手の言葉」をそのまま使って1メッセージでプレゼンした方がよい。
「今回は、クオリティよりも、スピード重視で対応します」
カタカナ言葉が嫌いな人は「クオリティ」や「スピード重視」といった言葉を使いたくないかもしれないが、この場合は迷わずに使うべきだ。
特に冒頭の1メッセージであれば、なおさらだ。相手に情報処理の負荷がかからず、相手はプレゼンの続きを集中して聞けるからだ。
社外プレゼン上手は「相手の言葉」を使ってプレゼンする
人によって、言葉の好みは異なる。カタカナ言葉を多く使うのが好きな人もいれば、業界用語を多く使うのが好きな人もいる。しかし、社外プレゼンが巧みな人は、自分の好きな「自分の言葉」は使わずに、「相手の言葉」を使ってプレゼンする。伝わりやすさがまったく違うからだ。
たかが言葉、されど言葉。相手から「Yes」をもらえるかは、自分が発している言葉選び次第で変わるものなのだ。
(本原稿は『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』を一部抜粋・加筆したものです)









