「しじみで言ったら貝殻が閉じちょる感じがして」

 松野家の独特のノリに面食らうばかりの小谷。

 だが、怪談系でない好きなものが見つかった。

「しじみ汁」

 ところが、小谷はしじみ汁が苦手だった。

「しじみ汁は松江人の血液だぞ」と、とがめられても苦手なものは仕方ない。

 小谷がしじみが苦手でも、家族はしじみ汁が好きと聞いて、勘右衛門たちは満足。

「大切なのは家じゃ」といまだに「家」のことにこだわっている。

 そして、いまだに男たちはトキが松野家を継いでくれることを願っていた。

 小谷に早くも(結婚したら)どこに住むかとしつこく聞く。でもそういうことが楽しそうで、彼らのさえない日常に娯楽が見つかってよかったなという気もする。

 小谷「しじみ汁が苦手で」
 フミ「えー」
 司之介「なにー」
 サワ「春夫」

 この連携がみごと。

 数日後、大寒波がようやく松江を去っていった。松の葉に雪が残っているのも風情がある。風景や小物などのイメージカットをインサートすることが最近の朝ドラでは少なくなっていたが(視聴者のタイパを意識してか)、たまにあると古い人間としてはホッとする。今週の演出は松岡一史さん。

 ヘブンも元気になってきて朝から「ハングリーハングリー」と大騒ぎ。

 元気になったら、トキに小谷と何を話したか尋ねる。目が悪い分、耳がいいのだと言う。地獄耳というやつである。

 小谷と出かけるとトキが答えると、ヘブンの反応は何かおかしい。

「しじみで言ったら貝殻が閉じちょる感じがして」

 トキは錦織(吉沢亮)に問いかけるが……。

 そんなことを気にする身分ではないと思いながら、ついついヘブンの自分に対する態度が気になってしまうトキ。微妙な乙女心である。

 湯たんぽにじんわりしている表情から、貝殻が閉じているような繊細な表情まで、トミー・バストウは実に多彩だ。

「湯たんぽ」の演技が秀逸!トミー・バストウがもらした台詞に共感してしまう〈ばけばけ第49回〉
「湯たんぽ」の演技が秀逸!トミー・バストウがもらした台詞に共感してしまう〈ばけばけ第49回〉